昨年度の科学技術研究費の総額は、前年度と比べ0.2%減の18兆9391億円で、3年ぶりに減少したことが、総務省の科学技術研究調査結果で明らかになった。国内総生産(GDP)に対する研究費の比率は、3.56%で0.10ポイント低下している。賃金水準等物価の変動分を除去して算出した実質研究費(平成22年度基準)は18兆7154億円で、1.1%増となっている。
研究費のうち、自然科学に利用した者は17兆5170億円で0.3%減となり、研究費全体に占める割合は92.5%となった。
研究費を支出減別にみると、民間が15兆5270億円(研究費全体の82.0%)、国・地方公共団体が3兆3274億円(17.6%)などとなり、民間が研究費全体の約8割を占めている。
前年度と比較すると、外国が8.2%増などとなっているのに対し、国・地方公共団体は4.6%減となっている。
費目別では、人件費が8兆1941億円(43.3%)、原材料費が2兆7007億円(14.3%)、有形固定資産購入費が1兆5055億円(7.9%)、無形固定資産購入費が1911億円(1.0%)、リース料が861億円(0.5%)などとなった。
これを前年度と比較すると、無形固定資産購入費が13.0%増、原材料費が1.5%増などとなっているのに対し、有形固定資産購入費が7.3%減、リース料が5.6%減、人件費が1.0%減となっている。
研究主体別では、企業が13兆6857億円で0.7%増となった一方で、大学等が3兆6439億円で1.4%減、非営利団体・公的機関が1兆6095億円で4.7%減となった。
企業の研究費を産業別にみると、「輸送用機械器具製造業」が2兆9529億円で最も多く(企業の研究費全体に占める割合21.6%)で過去最高(前年度比3.8%増)となっている。
今年3月31日現在の研究関係従事者数は106万人で、前年に比べ1.8%減となっている。
職種別にみると、研究者数は、前年より2.3%減の84万7100人で、3年ぶりに減少した。
また、研究者1人当たりの研究費は、2.2%増の2236万円で、5年連続の増加となっている。
女性研究者数は、1.6%増の13万8400人で過去最多となり、研究者全体に占める割合は0.6ポイント上昇の15.3%と過去最高であった。
昨年度の技術輸出による受取額は、7.9%増の3兆9498億円で4年連続の増加となるとともに、過去最高を更新した。
また、技術輸入による支払額は、17.5%増の6026億円で2年ぶりに増加した。
その結果、輸出から輸入を差し引いた技術貿易収支額は、6.4%増の3兆3472億円で6年連続の増加となるとともに、過去最高を更新した。
技術貿易額を相手国別にみると、受取額、支払額ともにアメリカ合衆国が最も多く、受取額は1兆5979億円(受取額全体の40.5%)、支払額は4249億円(支払額全体の70.5%)であった。