2015年度の看護職員の離職率は、常勤は10.9%、新卒は7.8%だったことが4日、日本看護協会の「2016年病院看護実態調査」で判明した。どちらも小規模な病院では離職率が高い傾向を示している。
調査は昨年10月、全国の病院8469施設の看護部長を対象に実施。このうち、全体の41.9%にあたる3549施設から有効な回答を得た。
全体の離職率の推移をみると、常勤・新卒とともに過去5年間は前者が11%前後、後者が8%弱でほぼ横ばいの状況が続いている。離職率を施設の規模別にみると、最も大きい「500床以上」では常勤が10.2%、新卒が7.0%なのに対し、最も小さい「99床以下」では常勤が2.1ポイント増の12.3%、新卒が6.9ポイント増の13.9%だった。
職員の充足状況では、「不足感がある」、「やや不足感がある」を合わせた割合が全体の75.7%にのぼった。病床別では特に500床以上の病院で不足感が強かった。看護部長が不足と判断する基準は、「現在算定している診療報酬の看護配置基準を維持するためには不足である」が最も多くて26.7%。次いで「看護部長として必要と考える看護サービスを実現するためには不足である」が25.9%だった。
夜勤形態別では、「1回あたりの夜勤時間が16時間を超える二交代制」が62.0%で最多。ひと月あたりの夜勤時間をみると、月に夜勤を72時間以上行っている職員は34.8%に上り、2012年の前回調査からは2.8ポイント上昇していた。病院を夜勤が多い職員の占める割合別にみると、ひと月72時間以上の職員が10%未満の施設の離職率は9.1%で、10%から30%未満の施設では9.9%だった。30%から50%未満では11.3%になり、50%以上では11.9%にのぼるなど、夜勤時間の多い職員が多い施設ほど離職率は高まる傾向にあった。
夜勤手当の平均額は、夕方から深夜までの三交替制準夜勤が4076円、深夜から朝までの三交替制深夜勤が5023円、二交代制が1万772円となっていた。前回の2015年調査からの増加額はいずれも100円未満で2011年度の調査以降は、ほぼ横ばいの状態が続いている。