2018年12月14日 皇室の至宝・国宝プロジェクトが始動 ~文化庁など日本美を守り伝え海外にも紹介~

文化庁、宮内庁、読売新聞社は、皇室ゆかりの優品や国宝・重要文化財をはじめとする日本の美を広く国内外へ、さらに未来へ紡ぐため、「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』―皇室の至宝・国宝プロジェクト―」を共同で進めていくことに合意した。

国宝・重要文化財や宮内庁三の丸尚蔵館の収蔵品は、日本の美の象徴。わが国が長い時を経て培ってきた文化遺産として、美術史的、歴史的、学術的及び文化的価値を未来へ守り伝え、また、広く海外にも紹介していくべきもの。

近年、教育や観光分野で美術品や文化財の公開を求める社会的なニーズが高まり、わが国の文化を取り巻く環境は急速に変化している。

インターネットや高精細デジタル画像技術が発展し、美術品・文化財の鑑賞や保存継承の在り方についても、見直しが始まっている。読売新聞などでは「国内外の多くの人々に、日本文化の魅力や素晴らしさを感じていただく機会の充実を図ることが必要」だと強調している。

 

ポータルサイト立上げや文化財修理事業も

今回のプロジェクトでは、美術品や文化財の保存と活用の両立を図る総合的な方策として、来春からスタートする展覧会での公開などを通じて得た収益を生かし、ポータルサイトを開設し、貴重な作品のデジタル保存、ウェブによる対外発信、文化財修理を国内で初めて一体的に進める。

今後、中長期的な事業として、多くの協賛企業からの支援を得ながら、文化財・美術品を後世に紡いでいくために欠かせない「保存、公開、修理」という一連のサイクルが永続する新たな仕組みを作っていく。宮内庁などでは「新たな御代を迎える節目の年に始まるこの取り組みが、かけがえのない日本の美と文化への理解を深めていただくきっかけとなればと考えている」と説明している。

 

東博で2つの展覧会フォーラムも開催

紡ぐプロジェクトでは当面、来年春、特別展「御即位30年記念 両陛下と文化交流‐日本美を伝える‐」(3月5日~4月29日)、「美を紡ぐ 日本美術の名品‐雪舟、永徳から光琳、北斎まで‐」(5月3日~6月2日)の二つの展覧会を東京国立博物館で開催する。

また、特別展「両陛下と文化交流‐日本美を伝える‐」会期中の3月28日には紡ぐプロジェクトの意義などを紹介するフォーラムを東京・大手町のよみうり大手町ホールで開催する。文化庁の宮田亮平長官や、大原美術館館長で美術史家の高階秀爾氏などの登壇を予定している。

さらに、日本美術・文化ポータルサイトの立上げや文化財修理事業を推進する。ポータルサイトでは多言語化により、国内だけでなく、日本に興味を持つ海外の人々にも情報を発信する。単なる作品紹介ではなく、時代背景や文化的価値などにも触れながら、読み物として楽しめるサイトとしていくという。来春の特別展覧会に合わせてプレオープンし、来年度前半に本格オープンする予定。

文化財修理事業は、プロジェクトの収益の一部を充てるもので、第一弾として、浄土宗総本山・知恩院(京都市東山区)が所蔵する国宝「阿弥陀二十五菩薩来迎図」を、3年間かけて修理していく予定。

今後は、有識者などで構成する「紡ぐプロジェクト文化財修理事業選考委員会(仮称)」を設立し、修理する作品を選定していく。

また、ポータルサイトなどを通じて修理の様子などを紹介するほか、修理の必要性、意義なども詳しく伝えていく。


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