国際農林水産業研究センター(国際農研)は、日本財団の海外協力援助事業の枠組みで、アフリカに適した環境再生型農業の構築を目指す「TERRA Africa」(テラ・アフリカ)プロジェクトを開始した。今年9月6日にはガーナ共和国でプロジェクト発足記念式典を開催した。国際農研では、国内外の機関と連携し、アフリカに適した土壌・栽培管理技術とその普及技術の開発を推進する。
アフリカのサバンナ地域は食料増産への期待が大きい一方、気候変動による影響を受けやすい地域と言われている。こうした地域で持続的な農業を営むためには、作物生産性と土壌健全性を向上する環境再生型の技術が求められる。
国際農研は、公益財団法人日本財団の海外協力援助事業の一環として、「アフリカにおける地域に応じた環境再生型農業構築に向けた技術開発」プロジェクト(テラ・アフリカ)を開始し、ガーナ共和国北部のタマレ市内において、発足記念式典を開催した。
テラ・アフリカプロジェクトは、国際農研が研究代表機関を務め、日本からは東京農業大学と京都大学、ガーナからはガーナ国立開発研究大学、サバンナ農業研究所、不耕起農業研究センター、Degas(株)等が参画する5年間(令和5~9年度)の国際共同研究プロジェクト。
プロジェクトではガーナを主たる研究サイトとし、アフリカにおける多様な土壌・栽培管理技術の有効性を、土壌中の生物多様性や炭素蓄積量など土壌健全性の観点から評価し、作物生産性と土壌健全性を向上する「アフリカ版環境再生型農業技術」を開発するとともに、当該技術を社会実装するための普及方法を開発する。
さらに、プロジェクトで得られる多様な知見をもとに、「アフリカ版環境再生型農業技術」を周辺各国へ迅速かつ効果的に普及・展開するため、アフリカの小規模農家に対する農業技術の普及活動を日本財団の支援のもと長年にわたり実践している一般財団法人ササカワ・アフリカ財団の活動との緊密な連携を構築する。
テラ・アフリカプロジェクトの発足記念式典には、国際農研理事長、ガーナ国立開発研究大学副学長、サバンナ農業研究所所長、ガーナ科学産業評議会事務局長、日本財団特別顧問らが出席し、祝辞ならびにプロジェクトへの期待が示されるとともに、研究成果の発現と社会実装を達成するために、関係者が協力・連携して取り組むことが確認された。