福祉医療機構が特別養護老人ホームの入所状況について調べた最新の結果を公表した。
待機者が50人以上いる施設が66.0%、150人以上いる施設が23.3%にのぼっている。1施設あたりの待機者は平均で117.3人。定員1人あたりの待機者は1.75人で、申し込んでもなかなか入れない高齢者が未だ多くいる現状が改めて浮き彫りになった。もっとも、以前より待機者が減少したところも少なくないようだ。
この調査は、昨年の10月から11月にかけてインターネットで行われた。全国の特養3533施設が対象で、35.1%にあたる1241施設から有効な回答を得たという。
それによると、48.8%の施設が1年前の2016年10月と比較して待機者が減ったと答えていた。その理由では、「他施設との競合が激化したため」が42.5%で最多。「要介護2以下が入所要件から外れたため」の37.5%を上回っていた。
「競争の激化」はベッドの稼働にも影響を与えているという。「この1年で利用率が下がった」。そう答えた21.0%の施設に理由を聞くと、「他施設との競合が激化したため」が28.8%でトップ。「受け入れ体制が整わなかった」と回答したところも17.3%あった。福祉医療機構は、「社会福祉施設やサ高住などの増加により、入所者のみならず介護職員の確保においても競争が激しくなっている」と指摘している。
■ 医療ニーズへの対応も必要
福祉医療機構は今回のレポートで、待機者の人数の地域差についても言及している。1施設あたりの待機者が170人を超えている地域がある一方で、既に70人未満となったところも出ていると分析。相対的に待機者が少ない都道府県として、栃木県や茨城県、石川県、和歌山県、佐賀県、大分県、鹿児島県などをあげた。
そのうえで、「待機者が比較的少ない地域では、今後、入所者の新規受け入れが特に厳しくなる」と指摘。「医療ニーズにも対応できるようにするなど、空床が生じた際にスムーズな入所につなげられる体制の構築も必要」と促している。