特許庁からスタートアップにアプローチし、特許庁の各種支援施策の活用を促すことで、円滑かつ効果的な権利取得を支援する「スタートアップに対するプッシュ型支援」(PASS)を実施する。スタートアップの事業戦略に応じて、面接審査等を活用し、事業に即した権利の取得につながるよう特許審査官が支援を行うものであり、特許審査でプッシュ型支援を行うのは初の取組。
特許庁では、これまでもスタートアップに対する様々な支援策を提供してきたが、これらは出願人側の求めに応じて行われるものが主であった。令和6年4月から実施する「スタートアップに対するプッシュ型支援」(PASS)※1では、特許を出願したスタートアップやその代理人に対して、特許庁側から電話やメール等で積極的に連絡を取り、各種支援策を紹介してそれらの活用を促進する。
特に、支援策の一つであるスタートアップ対応面接活用早期審査※2では、特許審査官がきめ細やかなサポートを提供し、事業に即した、質の高い権利の早期取得に向けて支援する。これまでは、スタートアップ対応面接活用早期審査を希望する際、「早期審査に関する事情説明書の説明」が必要であったが、PASSに基づく特許庁からの連絡を受けた出願人は、事情説明書を提出せずとも、利用の希望を特許庁側に伝える等の簡易的な手続により早期審査を受けられる。
PASSに基づく支援は、スタートアップに対して広く実施する予定であるが、一部のスタートアップに対しては優先的に実施する。例えば、令和6年1月に特許庁、福島県及び公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構との間で締結した、知的財産の保護及び活用に関する連携協定に基づき、福島県のスタートアップに対しては重点的に実施する予定。
※1 PASS:「Push‐type Assistance Service for Startups」の略称。また、スタートアップに支援策を手渡し(pass)、権利取得のプロセスを円滑に通過(pass)できるよう支援するという意味合いも含めた呼称。
※2 スタートアップ対応面接活用早期審査:一次審査結果通知前に行う面接を通じて戦略的な特許権の取得につなげる施策。さらに、通常より早期の審査スピードで対応することで、早期に質の高い特許権を取得可能。