浅尾慶一郎環境大臣は11月18日、アゼルバイジャンで開催中の気候変動枠組条約COP29において、気候変動対策に関する日本の貢献の一つとして、「NDC実施と透明性向上に向けた共同行動」を発表した。このイニシアティブでは、シナジーアプローチ、市場メカニズムを通じた緩和の拡大、世界の透明性向上の3つの共同行動を掲げている。
各国は、2025年2月までに、グローバルストックテイクの結果を踏まえ、1.5度目標と整合的で野心的なNDCを提出する必要がある。
緩和は、NDCで野心を掲げて終わりではなく、着実に実施し、その野心を実現してこそ意味を増す継続的な活動である。
日本は、各国がNDCに基づき緩和の取組を着実に実施し、透明性を確保してその実施状況を世界と共に共有できるよう、このイニシアティブに沿って国際的な協力の下での共同行動を促進する。
共同行動1:シナジーアプローチ
パリ協定の目標の達成に向けてネットゼロを実現するには、各国は、あらゆる分野でGHGを削減していく必要がある。3つのCOP(UNFCCC、UNCBD、UNCCD)の連携の下、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブを通じてネットゼロに貢献するシナジーアプローチは、高い費用対効果をもって緩和を進める。また、このアプローチは、適応や経済安全保障にも貢献する。
日本は、UNEA6の「シナジー促進決議」を踏まえつつ、国際機関と連携し、先行して進めているシナジーの優良事例をとりまとめて世界と共有し、シナジーアプローチによる緩和の深掘りを促進する。
共同行動2:市場メカニズムを通じた緩和の拡大
緩和の取組は、優れた脱炭素技術を世界に広げることで、限界削減費用が低いところでのGHG排出削減を加速することが可能となる。パリ協定6条は、質の高い炭素市場を構築し、脱炭素技術に対する民間資金の動員を促し、各国の協力の下で、世界全体に緩和を拡大していくものである。
日本は、COP29での6条運用ルールの更なる整備の進展を見据えつつ、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)も活用し、JCM(二国間クレジット制度)パートナー国における緩和プロジェクトへの協力や、グローバルサプライチェーンにおけるGHG排出量の把握と削減を推進し、国際協力や市場メカニズムを通じた緩和の拡大を促進する。また、ADB、UNIDO、EBRD等の国際機関との連携の強化も行う。
共同行動3:世界の透明性向上
NDCに基づく緩和の取組の実施状況を明らかにしていくには、透明性の質の確保が不可欠である。BTRは、透明性を保証する重要な文書であり、GHGインベントリを含め、その質を高め、各国で揃えていくことが重要である。日本が世界に先駆けて提出したBTRの知見は、途上国のBTR作成の一助となる。
日本は、COP29議長国アゼルバイジャンのイニシアティブである「バクー世界気候透明性プラットフォーム(BTP)」と連携し、GOSATの衛星技術も活用しつつ、GHGインベントリの質の改善をはじめとするBTRの作成支援を行い、世界の透明性の向上を促進する。