全国民生委員児童委員連合会が今月12日に公表した調査の結果では、何らかの困難を抱えていて社会的に孤立している人の支援を担っている民生委員が、全体の26.6%を占めると報告されている。支援を受けた人の状態は認知症やひきこもりなど様々だ。地域で直面している課題の複雑さが改めて浮き彫りになった形で、こうした傾向は今後さらに強まっていくとみられる。
この調査は昨年の7月から9月にかけて実施されたもの。全国の民生委員・児童委員23万1551人が対象で、86.7%から回答を得ている。
それによると、社会的に孤立している人を支援した経験のある民生委員は5万3454人(26.6%)。支援を受けた人の58.9%は65歳以上の高齢者で、15.5%は生活保護を受給していた。民生委員が紹介した専門機関では、「地域包括支援センターや介護事業所など」が32.3%で最も多くなっている。
本人が抱えている困難をみると(複数回答)、「身体的な病気やけが」が34.1%で最多。それに「認知症」(27.4%)や「近隣住民とのトラブル」(21.9%)が続いている。このほか、「精神面の不調(20.9%)」、「必要な介護や生活支援を受けていない」(18.9%)、「ひきこもり」(16.6%)、「ゴミ屋敷」(16.4%)なども少なくなかった。全民児連の担当者は、「困っていても身近に頼れる人がおらず、苦しい状態に陥ってしまう人が増えている。単身の高齢者や非正規労働者の増加に加えて、地域のつながりが希薄になっていることも関係しているだろう」と話している。
政府は現在、高齢者や生活困窮者なども当事者となって相互に支え合う「地域共生社会」の構築を進めている。民生委員には今後も、行政・専門機関と住民の架け橋となる働きが期待されていく。課題は担い手の確保だ。厚生労働省によると、定数に対する委嘱数の割合(充足率)は低下している。社会・援護局の担当者は、「やはり業務が大変。皆がそうした認識を持っている」と説明。2日に1度は何らかの活動を行っているのが実情で、他の仕事をこなしながら役割を担うのはかなり難しいという。