企業向け機械翻訳サービスを提供している(株)みらい翻訳は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)との共同研究で、改良したニューラル機械翻訳エンジンの日本語・英語間において、TOEIC960点レベルのビジネスマンと同等の翻訳精度を実現したと発表した。
働き方改革による業務の効率化を求められる中、翻訳などに多く時間を要するビジネスを効率的に進める需要が高まっている。
深層学習技術による高精度の機械翻訳の出現で、ビジネスシーンでも機械翻訳が実用レベルになったが、法人向けのクラウド翻訳サービスを提供しているみらい翻訳には、さらに高精度の翻訳エンジンを求める声がユーザーから強く寄せられてきたという。このため、同社は翻訳精度をさらに高めるべく研究開発を重ねてきた。
実務水準の翻訳エンジンを共同研究開発
NICTとの共同研究で開発した日英機械翻訳エンジンにおいて、学習データの増量、前処理の追加など継続的な改善の成果により翻訳精度がさらに向上。ビジネスコミュニケーションや経済系ニュースなどの実務上の文章翻訳において5段階で4点超と実務で必要な水準を満たしているのみならず、和文英訳でプロの日本人翻訳者と同等の翻訳品質が得られることが確認できた。
また、同文章でTOEICスコアが、ネイティブスピーカーとスムーズにビジネスコミュニケーションができるレベルといわれる920点から960点レベルを有する日本人ビジネスマンの翻訳結果と機械翻訳結果とを比較したところ、機械翻訳のほうが翻訳精度が高いことを確認できた。
同様に和文翻訳の比較を実施したところ、プロの日本人翻訳者による日本語としての自然な語順や背景を考慮した翻訳には及ばなかったものの、TOEIC960点レベルの日本人ビジネスマンと同等精度の機械翻訳結果が得られた。
また、今回確認できた機械翻訳の特徴として、文章の読みやすさの指標となる翻訳文の流暢さは、ビジネスマンが翻訳した文章よりも、機械翻訳の結果のほうが優っており、プロ翻訳者に迫る精度だった。
精読率は、日本語から英語への翻訳処理結果では89.3%、英語から日本語への翻訳処理結果では71.0%に達した。
ビジネスマン、プロ翻訳者とも、翻訳作業には数時間を要するのに対し、期間翻訳エンジンは数分で処理を終了しており、日々の業務効率化に大きく貢献することが期待できる。
ユーザーからは「翻訳精度が優れており業務に役立つ」との反響が多く寄せられているという。
同社では、今後ともNICTと緊密に連携協力を深めながら、さらに高精度な汎用翻訳エンジンの開発を進め、専門分野でニーズが高い分野においても高精度の翻訳エンジンを開発していく方針だ。
ビジネス文章の翻訳業務において、人手が介在しない機械翻訳サービスの実現を目指す。