横浜市は7月31日、ベトナムの自治体や学校と介護人材の受け入れに関する覚書を締結したと発表した。送り出すベトナム側は、日本で介護福祉士を目指す意欲のある学生らを推薦。横浜市は受け入れた留学生に対し、資格取得に向けた費用の補助や働く施設の紹介などの支援を展開していく。横浜市内では2025年までにおよそ8500人の介護人材が不足する見込み。今後の深刻な課題の解消につなげていく施策の一環だ。
横浜市の林文子市長は昨年、APEC(アジア太平洋経済協力)の会合に出席するためにベトナムを訪問。その際、同国の政府・自治体の関係者に介護人材の受け入れについて協力を要請していた。帰国後、ダナン市から持ちかけられた具体案を協議。先月下旬までに、ホーチミン市やフエ省、現地の大学、職業訓練校など2市、1省、5校と覚書を締結した。こうした取り組みは日本の自治体では初めて。
■ 5年働けば返済免除
外国人の受け入れをめぐっては昨年9月、国が在留資格に「介護」を追加。専門学校などに通って介護福祉士の国家資格を取れば、日本の現場で長く働いていくことができるようになった。
横浜市はこの制度を使う。来日したベトナム人の留学生にまず日本語学校に通ってもらい、その学費を受け入れ施設と折半で負担する(35万円ずつ)。その後2年間かけて通う専門学校の学費には、神奈川県の奨学金160万円を充てられるようにする。留学生は就学中、市内の特養や老健などで週28時間ほど働く。国家資格を取得したあとで、正社員として週40時間の勤務を5年間続ければ奨学金の返済は免除される。この間は家賃の補助も用意されており、生活の困りごとに関する相談や国試対策などのサポートも受けられる。
来年1月には、市内の7ヵ所の施設で受け入れが始まる予定。最初の人数は、9ヵ月程度のインターン生も含めて20人程度だという。インターン生には将来、技能実習制度などを通じて再来日してもらうことが期待されている。