日本財団が17歳から19歳の男女を対象に行った意識調査によると、若者の多くの今後格差が拡大すると考えており、格差是正が実現できると感じているのは全体のわずか4.4%に過ぎないことが明らかとなった。また、「受ける教育の差」で格差を感じていることが浮き彫りとなった。
医大は金持ちしか行けない
世界的に格差が拡大しているかとどうか聞いたところ、72.3%が「思う」と回答。思わないと答えたのは7.4%で、「わからない」は20.3%だった。また、日常生活のなかで経済的な格差を感じることがあると答えたのは57.6%で、感じないと答えた42.4%を上回った。
日常生活のなかで格差を感じる場面としては、「服のブランド物やゲームのソフト所持数など」「周りの友人と比べて、外食にかける金額や頻度が少ないから」など、自分と身近にいる友人と比較して格差を感じるとの回答が多くみられた。
また、「金銭事情により進学を希望してもできない人がいる」「お金を多く持っている家庭とそうでない家庭で、受けることができる教育に差が生じていると感じているから」など、経済的な差により、受ける教育にも格差が生まれてしまっているという内容も目立った。
特に教育では、「お金持ちほど偏差値の高い一流大学への進学者が多い」「医科大へは医師や金持ちの子どもしか行けない」「奨学金を受けている人、受けずに全てを親に払ってもらい欲のままに生きている人、その両方が学生に多い」ということを感じている。
一方で、日常生活で格差を感じない理由としては、「あからさまな貧富の格差を見ることがない」「まわりには同じような境遇の人しかいない」など、自分と周囲の人との差を感じていないという声が寄せられた。
また、「世界的に考えると、日本は裕福な生活ができていると思うから」「日本はまだ裕福な国」「不自由なく生活できているから」など、自分を含めて困窮した生活を送っている人が周囲にいないため、実感として感じていないようすがうかがえた。
格差拡大要因、最多は「低賃金のサービス労働」
格差拡大の原因についても聞いた。格差が拡大する要因として最も多かったのが「低賃金のサービス労働の拡大」で、37.1%の若者が答えた。続いて、「政府の経済政策」35.6%、「個人の財産・資質の問題」35.0%が同程度のスコアで続く。「教育の問題」も約3割の若者が、格差拡大の原因としてあげた。
格差は今後どうなるかとの問いに対しては、61.6%が「さらに拡大する」と回答。「縮小する」はわずか4.4%で、34.0%が「わからない」と答えた。格差は是正できるかという質問に関しては、「わからない」が39.2%で最多となったが、「思わない」が37.1%、「思う」は23.7%で、格差是正についてあまり希望をもっていない現状が浮き彫りとなった。
格差を是正するための対策として最も多かったのは、「税制など金融政策の見直し」(47.7%)。次いで、「教育・職業訓練の拡充」(42.6%)、「富裕層に対する増税」(36.7%)などの回答がみられた。
格差を是正できないと思う理由としては、「家庭環境や個人の資質には違いがある」が最多で41.0%。「資本主義は競争社会だから」という回答も37.7%にのぼった。
「格差社会で生きていくためにどのような生き方をするか」という質問に対しては、賃金の高い企業に就職するという回答が32.2%で最も多かった。以下、「購入を控え、支出を抑える」(20.1%)、「投資などで蓄財する」(13.0%)、「職業選択の幅が広い大都市圏に住む」(7.5%)といった声も寄せられた。「わからない」は24.3%。
同一賃金、7割超が「知らない」
政府が今年4月から非正規雇用労働者の待遇を改善するために、大企業に義務付けた「同一労働同一賃金」。同制度を認知しているか聞いたところ、7割超の77.4%が「知らない」と答えた。また、同制度を支持するかどうか聞いたところ、「支持する」と答えたのは38.2%、「支持しない」は20.5%。「わからない」は41.3%だった。