栃木県小山市がふるさと納税の謝礼品のメニューへ新たに「高齢者の見守り」を加えた。一定の金額を寄付すれば、地元のヤクルトの販売員が活動を担ってくれる仕組みだ。25日にはヤクルトと市が覚書を締結。謝礼品を豪華にする競争が過熱気味だと指摘されているなか、新しいユニークなアイデアとして注目を集めている。
寄付できるのは小山市内に高齢の家族などが暮らす人。販売員は乳酸菌飲料を配達する際に安否確認を行い、その様子をメールで知らせてくれる。何か異変に気付いた場合には、必要に応じて市や警察などにも連絡を入れるという。訪問の頻度は寄付額によって異なる。10万5000円で週1回を1年間、5万3000円で週1回を半年間、2万7000円で2週に1回を半年間などとなっている。
今後は公式サイトで希望者を募り、6月からの運用開始を目指す。小山市の大久保寿夫市長は自身のTwitterで26日、「小山市には現在高齢者だけで住んでいる方々が2万1076人いらっしゃいます。高齢者が安心に暮らせるよう本制度の活用を」と呼びかけた。同市の担当者は、「地元に貢献する気持ちでこの仕組みを使っていただければ」と話している。
■ 広がる自治体と企業の連携
見守りサービスをめぐる自治体と企業の連携‐。すでに様々なレベルで進められているが、拡大していく動きは今も衰えていない。
鹿児島県日置市は先月、セブンイレブン・ジャパンと新たな協定書を交わした。同社の店舗や配達サービス「セブンミール」などを、見守りネットワークの一翼として活かしていく計画だ。同社は今年に入ってから茨城県や広島県、市町村では新潟県の上越市や長岡市、東京都八王子市などとも協定を締結。過疎化や小売店の撤退が進む地域などを中心に、コンビニ特有の店舗の多さやネットワークの広さを活用した取り組みを推進していく方針だ。群馬県と佐川急便も先月に協定を締結。荷物の集配などの機会を有効に使い、両者が連携して対応にあたっていくという。
そのほか、綜合警備保障(ALSOK)や日本郵便、東急電鉄、NTT東日本などもサービス提供に乗り出している。