2016年11月24日 東大寺で観光ガイド実証実験 新開発クリーンビーコンとスマホアプリで

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ソフトバンクグループのリアライズ・モバイル・コミュニケーションズ株式会社、株式会社日立製作所及び株式会社サイバー創研とともに、奈良県の東大寺で無線発信機のクリーンビーコンとスマートフォンを用いた観光ガイドの実証実験を展開している。

実証実験を通じて、蛍光灯の光などでも発電する屋内外の無給電動作が可能でメンテナンスフリーなクリーンビーコンによるナビゲーション・インフラの確立を目指す。この成果をガイドラインにまとめることで、クリーンビーコンのオープンプラットフォーム構築と普及を進める。将来的には、観光だけでなくセールスプロモーションや防災など様々な分野での活用が期待される。

 

屋内低照度環境下でも発電・稼働するデバイスを普及拡大

あらゆるモノがインターネットでつながるIoTの普及によって、消費電力の大幅な増加が予想され、エレクトロニクス機器の低消費電力化、高効率化が重要な課題となっている。しかし、それを解決するために開発されたクリーンデバイスの多くは、コストが高く用途が限定されているため、普及には至っていない。

そこでNEDOは、クリーンデバイス社会実装推進事業においてクリーンデバイスを適用したユースケースを創出し、クリーンデバイスの普及拡大を目指している。

昨今、アイビーコンに代表されるようなブルートゥース低電力による無線技術を用いたビーコンは、スマートフォンなどの情報端末を利用して、クーポンの配布や位置情報取得による見守りなど様々なサービスに活用されている。今後も増加する訪日外国人への案内、地方活性化、防災防犯などの社会的ニーズを満たす技術として、市場の拡大が期待される分野だと見込まれている。その一方で、動作に電源を必要とするビーコン機器が広範囲に、また大量に設置されると、電池交換や管理などの運用上の問題が発生する。

NEDOでは、蛍光灯など屋内低照度環境下でも発電・稼働するような無給電で24時間動作し、かつ、メンテナンスフリーなクリーンビーコンを開発・試作し、また、それら大量のビーコンを管理するオープンプラットフォームの開発により、運用上の問題解決を目指している。

今回の実証実験では、観光客が提供サービスに対応したアプリをスマートフォンにダウンロードし、東大寺の敷地内に複数設置されているクリーンビーコンに近づくと、自動的に観光ガイド情報やナビゲーション情報を提供するシステムを作り上げた。

 

参拝のマナーなどを紹介

観光ガイドはiOSアプリで、英・中・韓国語に対応し、外国人観光客の利用を促す。アプリをインストールしたスマートフォンが観光ガイドムービー起動スポットに入ると、ビーコンからの電波を受信し、その場に応じた観光ガイドムービーが自動再生される。これにより、外国人観光客に対して、東大寺の概要や歴史の説明、参拝のマナーなどを紹介するツールとして期待している。アプリのインストール案内は、奈良県の協力を得て、東大寺境内、奈良ビジターセンター、奈良市総合観光案内所などで配布している。

実証実験は11月から来年3月末まで行う。プロジェクト終了後に、クリーンビーコンの設置・利用ガイドラインやオープンプラットフォームの外部インターフェースを一般公開するとともに、既存のプロットフォーム及びサービス提供事業者へも連携を呼びかけることで、幅広い分野での活用を提案し、新サービス・市場の創設、拡大に貢献する。


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