東京都とファミリーマートが共同で、フレイルの予防に役立つ食生活についての情報発信を10月29日から開始した。
スローガンは「東京をおいしく元気に」。都内のファミリーマート約2400店で展開していく。例えば、フレイルの基礎知識や食事の工夫点、適切な食材の組み合わせ方などをまとめたリーフレットを配布する。
適切な食環境の整備や啓発などを進めることで、介護予防や健康寿命の延伸につなげていく狙いだ。
こうした取り組みの背景には、弁当や総菜などを買って持ち帰る「中食」を選ぶ高齢者が以前より多くなったことがある。高齢化や1人暮らし世帯の増加に伴う変化。
対象となる都内のファミリーマートでは今後、弁当・惣菜コーナーで個々の商品に使われている食品群が一目で分かる表示もなされる。また、栄養バランスを特に重視したメニューの提供も新たにスタートするという。具体的には、必要な10食品群のうち、7食品群を盛り込んだビビンバ丼を開発・販売する。3種のナムル(もやし・大根・人参)とほうれん草、大豆ミートと豚そぼろ炒めなどを、辛味のあるコチュジャンたれ、錦糸卵、蓮根きんぴらと合わせたメニューで、主食・主菜・副菜が1回で取れるのが特徴。価格は税込み498円で、栄養バランスが良く、混ぜることで食べやすい一品となっている。
ファミリーマートはこれまでも、管理栄養士が監修した弁当の販売や高齢者向け弁当の宅配などを展開してきた。また2016年からは、栄養に関する相談などを店内で受ける「栄養ケア・ステーション」の設置を進めている。ライバルのローソンも「マチの健康ステーション」を軸とした事業戦略を打ち出しており、顧客獲得に向けたコンビニの対応が進んでいる。
一方、東京都は公式サイトで高齢者にやさしい簡単料理レシピを公開。ここでは、缶詰やカット野菜、サラダチキンなどコンビニで手軽に買える食材を活用したレシピが、主食、主菜、副菜といった種類ごとに紹介されている。
フレイルは、高齢者が加齢や病気により、心身・生活・社会的の3つの機能が徐々に低下して要介護状態に近づくこと。高齢化が進展している中、いつまでも健康でいきいきと生活するためには、フレイルを予防することが鍵になるといわれている。予防に効果的とされる食事では、たんぱく質を多く含む食品(肉、魚介類、卵、大豆・大豆製品)を毎食とることが重要。中でも、肉、魚介類、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、海藻類、果物、いも、油脂の10食品群を満遍なく食べることが予防に役立つといわれている。