日本科学未来館(略称:未来館)は、特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか To the Moon and Beyond」を7月12日(土)から9月28日(日)に開催する。アポロ計画からおよそ半世紀ぶりとなる有人月面探査計画『アルテミス計画』のために日本が開発している有人月面探査車の実物大模型を世界で初公開するとともに、大画面で体感する火星ツアーなど、最新宇宙探査技術とその成果が一堂に集結する。月を超えて、火星へ、さらにその先にある深宇宙の謎へ―。人類の新たな宇宙への挑戦を体感する大規模宇宙展。
人類は今、かつてない宇宙探査の時代を迎えている。アポロ計画からおよそ半世紀。再び月に宇宙飛行士を送り、将来的に火星の有人探査を行うという人類の夢が現実のものになろうとしている。
同展は、JAXA、国立天文台、東京大学をはじめとする日本の主要な宇宙研究開発機関に加え、宇宙開発に携わる多くの企業・団体の協力により実現するもの。子どもにもわかりやすい解説や体験コーナーも多数設置する。未来館では、「宇宙への挑戦を続ける人類の〝知〟をぜひこの機会にご覧ください」と、多くの来場を呼び掛けている。
世界初公開!アルテミス計画の関連展示が目白押し
同展の目玉は、アポロ計画からおよそ半世紀ぶりとなる有人月面探査「アルテミス計画」で実際に使用される先端技術の数々。最新鋭のものを特別展示する。
公開されるのは、宇宙飛行士が乗り込み、宇宙服を着ずに車内で約1か月間生活しながら月面探査を行うことができる探査車有人月面探査車「有人与圧ローバー」(実物大模型)。次世代の月面探査を象徴する存在で、実物大模型の展示は世界初公開となる。
また、月面に直接置いて使う計測器月面誘電率計測器(LDA:Lunar Dielectric Analyzer)も公開される。土砂などの物質の電気のため込みやすさ(誘電率)を直接測定することで、月の地下の状況を推定することができる。同展では、月の氷など月資源の探査へつながることが期待される技術を紹介する。
日本の宇宙探査・開発の最前線が一堂に集結
同展では、日本の最新宇宙ミッションが集結する。「はやぶさ」「はやぶさ2」が持ち帰った貴重な粒子や「H3ロケット」のフェアリングの実物大模型、火星衛星探査計画や民間企業による宇宙開発など、新時代の取り組みを見ることができる。
このうち小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」が持ち帰った粒子は、太陽系の起源を解明する重要な粒子の実物を展示。粒子の一つひとつが日本の宇宙探査技術の結晶といえる。火星衛星探査計画「MMX:Martian Moons eXploration」は、「はやぶさ2」に次ぐ3番目のサンプルリターンを目指す計画。火星の衛星フォボスからサンプルを持ち帰る挑戦を紹介する。
ロケットに搭載された衛星などを、飛行による風圧や摩擦熱から守るのが、フェアリングというカバー(覆い)。同展では、わが国の新しい大型基幹ロケット「H3ロケット」のフェアリングの実物大模型を目のあたりにすることができる。
火星を旅する大画面映像と本物のロケット部品で宇宙を体感
圧倒的な迫力の大画面映像により、来場者の皆様を新たな火星の旅へといざなう。また、JAXA種子島宇宙センターに展示されているロケットの部品など貴重なアイテムを展示する。火星探査機が捉えた最新のデータを駆使して製作された映像を大画面で楽しむ大迫力の火星ツアーとともに、最先端の研究データをもとに100年後の未来の火星生活も体験する。さらに、普段は、JAXA種子島宇宙センターに展示されているロケットの断熱材やフェアリングの一部などを手に取って体験。ロケットの精密さやスケール感を体感することもできる。