新たな医療機器の創出を目的として、医療関係者から寄せられた現場のニーズをものづくり企業に提供する会員登録制Webサイト「医療機器アイデアボックス」を運営している国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)は、ニーズ提案者が開発パートナーを見つけやすく、一つでも多くのニーズが医療機器開発につながるよう、運用をリニューアルした。
有識者の「目利き」によって有望なニーズを厳選した上、対象疾病のデータなど有用な情報を付加して公開することとしたもので、これまで医療現場のニーズ情報へのアクセスが難しかったコーディネーターやものづくり企業にとっては、医療機器の開発に必要なマーケット情報の収集が容易になる。また医療関係者にとっては、課題解決につながる医療機器を開発するものづくり企業が簡単に見いだすことができるようになった。
AMEDでは、医療機器アイデアボックスのリニューアルにより、医工連携が促進され、医療現場の課題解決につながる医療機器開発が加速することを期待している。
「こんな機器があれば便利」
産業界では医療機器の開発に対する関心が高まっている。しかし、医療現場でどのような危機が求められているのか、ほとんどのものづくり企業は情報を得ることが困難。一方、医療現場でも、「こんな医療機器があれば便利なのに」、「こんな医療機器があればもっと良い診断・治療ができるのに」といった悩みを抱いている医療関係者が少なくないという。
こうしたものづくり企業のシーズと医療現場のニーズのマッチングを促進し、新たな医療機器の開発につなげることを目的に、経済産業省の課題解決型医療機器開発事業(平成22~25年度)の一環として会員登録制Webサイト「医療機器アイデアボックス」が平成24年度に開設された。
AMEDは、平成26年度に「医工連携事業化推進事業」と名称変更した同事業を27年度に経産省から引き継いだ。今後、医療機器アイデアボックスの機能を強化し、課題解決につながる医療機器開発の加速化を目指す。
医療機器アイデアボックスには、医療関係者272人、コーディネーター360人、ものづくり企業966人が登録済み。会員登録することによって、医療関係者は医療現場のニーズ登録、コーディネーターとものづくり企業はニーズ閲覧が可能となる。リニューアルされたサイトには今のところ、目利きが厳選した有望ニーズを10件公開している。
AMEDによると、従来の医療機器アイデアボックスにはなかった主な新しい機能は、1)寄せられた医療ニーズに対してAMEDが開発のヒントとなるような患者数や既存の検査・治療法などの情報を付加、2)AMEDが年4回開催する「臨床ニーズ抽出委員会(企業への橋渡し委員会)」で目利きした有望ニーズのみを公開、3)有望ニーズは地域支援機関等のコーディネーターに対し、1ヶ月間優先的に公開、4)ニーズ提供者の名前や連絡先などの個人情報を表示せず、AMEDがコーディネーターやものづくり企業とニーズ提供者を仲介する。