2017年3月3日 最低限必要な水を確保 リスク管理型の安定供給に向けた水資源開発

国土交通省は22日、国土審議会長に対して昨年12月に諮問した「リスク管理型の安定供給に向けた水資源開発計画のあり方について」に対する答水供給を巡るリスクに対応するための計画について、水供給に影響が大きいリスクへの対応をあげ、これまでのフルプランが水需給バランスの確保を目指してきたことに加えて、地震等の大規模災害、水インフラの老朽化に伴う大規模な事故、危機的な渇水等発生頻度は低いものの水供給に影響の大きいリスクに対しても最低限必要な水を確保することを新たな供給の目標にするよう求めた。

水供給の安全度を総合的に確保するための計画については、新たなフルプランのあり方として、需要主導型の水資源開発からの転換、地域の実情に即した安定的な水利用、水需給バランスの総合的な点検をあげている。

このうち、需要主導型の水資源開発からの転換では、水資源開発施設の整備が進展する一方で水需要の増加がおおむね収束し、水系全体でみれば水需給バランスがおおむね確保されつつある現状を踏まえると、現行フルプランと同様に、新たな水資源開発を必要とする「定量的な供給目標量」を設定する意義は薄いとの考えを示した。

地域の実情に即した安定的な水利用では、水資源開発推計体系では水需給バランスが確保されつつあるものの、河川ごと、個別の施設ごとや利水者ごとに見た場合には水供給の安全度が一様ではなく、依然として渇水や不安定取水などが残る状況を踏まえて、現行フルプランの供給目標である「地域の実情に即して安定的な水利用を可能にする」ための取組をより一層推進する必要があるとしている。

水需給バランスの総合的な点検では、リスク管理型の水の安定供給の実現に向けて、起こりうる渇水のリスクを幅広に想定して対応策を検討する必要があるため、需要と供給の両面に存在する不確定要素を考慮して需要量見込みと供給可能量を示し、水需給バランスを総合的に評価するとともに、水需給バランスは定期的に点検を行い、対応策の見直しに反映するよう求めた。また、定期的な点検では、実際に発生した渇水を対象に、フルプランに基づいて整備した施設や整備中の施設による効果を検証することが必要としている。

既存施設の徹底活用を基本戦略とする計画では、既存施設の徹底活用、改変事業群の包括掲上を新たなフルプランのあり方として掲げている。

このうち、既存施設の徹底活用では、既存施設の老朽化が急速に進む中、限られた財源で長寿命化対策を計画的に進めながら地震等の大規模災害、水インフラの老朽化に伴う大規模な事故、危機的な渇水等の危機時も含めて水の安定供給を確保していくために、既存施設の徹底活用を施設整備の基本戦略にする必要があるとの考えを示した。

改築事業群の包括掲上では、ストックマネジメントの考え方に基づく既存施設の長寿命化対策を機動的に展開していくためには、必要な手続きをできるだけ簡素化することが重要であるため、従来のように各改築事業を個別に掲上せずに、今後予定される改築事業群を包括的に掲上することなどを検討する必要があるとしている。

その一方で、次期フルプランの策定に当たっての留意点として、危機時において必要な水を確保するための施策の展開、水供給の安全度を確保するための施策の展開、水需給バランスの評価などを求めている。


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