内閣府がまとめた3月の月例経済報告によると、個人消費についてこのところ持ち直しに足踏みがみられることや、企業収益について感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善していることなどを要因として、「景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる」と、基調判断を据え置いた。また、先行きについては、「感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、感染症による影響を注視する必要がある。」としている。
日本経済の動向をみると、個人消費においては、個別の指標について需要側の統計をみると、「家計調査」では、実質消費支出は前月比1.2%減となった。販売側の統計をみると、「商業販売統計」では、小売業販売額は同0.9%減となっている。
設備投資は持ち直している。需要側統計である「法人企業統計季報」(7~9月期調査、含むソフトウェア)でみると、昨年10~12月期は前期比3.4%増となった。業種別では、製造業は同3.4%増、非製造業は同3.3%増となっている。機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、持ち直しの動きがみられる。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。
公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。1月の公共工事出来高は前月比2.0%減、2月の公共工事請負金額は同0.7%増、1月の公共工事受注額は同2.1%減となった。
輸出は、おおむね横ばいとなっており、地域別にみると、アジア、アメリカ、EU及びその他地域向けの輸出は、おおむね横ばいとなっている。
輸入は、おおむね横ばいとなっている。地域別にみると、アジア、アメリカ及びEUからの輸入はおおむね横ばいとなっている。
鉱工業生産は、持ち直しの動きがみられる。鉱工業生産指数は、前月比0.8%減となった。鉱工業在庫指数は、同1.4%増であった。
企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。「法人統計季報」(10~12月期調査)によると、昨年10~12月期の啓所利益は、前年比24.7%、前期比17,4となった。業種別にみると、製造業が前年比22.1%増、非製造業が同26.4%となっている。規模別では、大・中堅企業が同27.1%、中小企業が同19.8%であった。
雇用情勢について、完全失業率は、前月より0.1%ポイント上昇し、2.8%となった。労働力人口及び就業者数は減少し、完全失業者数は増加した。
雇用者数は横ばい圏内となっている。新規求人数は、水準は依然として低いものの、持ち直しの動きがみられる。有効求人倍率は横ばい圏内となっている。製造業の残業時間はこのところ持ち直している。