文部科学省は、いじめや自殺防止、インクルーシブ教育システムの構築や障碍者理解を普及啓発することを目的として、9月17日(土)から公開される映画『聲の形』とタイアップを行う。
文科省では企画の一環として、配給する松竹(株)の協力により、施策の啓発メッセージ「勇気をもって 心の声を伝えよう」を掲載したポスターを作成し、全国の小学校、中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校及び特別支援学校に配布するほか、特設サイトを9月2日から公開している。
映画では、主人公の少年が、転入してきた聴覚障害者である少女に好奇心を持ち、あるきっかけから自分自身がクラスから孤立してしまうものの、5年の時を経て、少女との再会をきっかけに過去の過ちへの償いを試み、少女をはじめ当時のクラスメイトとも向き合い、理解し認め合っていく様子が描かれている。
これは、文科省の施策である、いじめや自殺防止、インクルーシブ教育システムの構築や障害者理解を普及啓発する趣旨にも沿っていると考えられる。
文科省としては、学校において、障害のある子供と障害のない子供とが可能な限り共に教育を受けられるような環境整備を進めている。
また、例年、夏休み明けには、子供のいじめや自殺が増加する時期でもあり、今回の企画を通じて、子供たちが正面から向き合うこと、お互いを理解し合い、相手を受け入れることの重要性について伝えていくことにより、これら施策の普及啓発を図りたいと考えている。
映画「聲の形」は、第18回(平成26年)文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を受賞した山田尚子氏が監督を務めた。
原作は、大今良時氏。聴覚障害のある少女と、クラスで孤立してしまった少年たちが過去と向き合い、理解し合っていく様子が描かれ、平成25年から26年にかけて週刊少年マガジンに連載された。
掲載後に10代の少年少女を中心に大きな反響を呼び、読者アンケート1位の獲得や、手塚治虫文化賞新生賞など数々の賞を受賞。幅広い層に支持され、全7巻の累計発行部数は300万部を突破している。
原作者の大今氏は、ロードショーに当たって、「皆さんが自分のお話だと思えるような作品になると思います。より多くの方にとって、より身近な「聲の形」になりますように」。山田監督は「思いの伝え方は人それぞれで、たくさんのかたちがあるように思います。あしたにつづく希望の兆しをこの作品で将也たちと一緒に探っていきたいと思っています」とコメントしている。