日本財団が行った国際女性意識調査によると、「仕事と子育てを両立できる環境の未整備」がわが国女性が考える少子化の最大要因であったが、スウェーデンでは未婚や子どもがいないことに抵抗があまりないことを、少子化の理由としてあげる女性が多かったことが明らかとなった。
調査は日本をはじめ米国、デンマーク、スウェーデン、フランス、中国、イタリア、韓国の8ヵ国の女性計4000名を対象に、インターネットを介して行った。
少子化の現状について、「問題あり」の回答が多いのは、日本、韓国、イタリア。それぞれ7~8割を占めている。「問題なし」は米国が5割を超えるとともに、フランス、デンマーク、スウェーデンで45%前後となっているが、「問題あり」の割合も高い。中国は「問題あり」が5割を超えるが、「問題なし」も4割近い。
少子化への意識を年代別にみると、日本は各年代で「問題あり」の回答が多く、50代以外では8割を超える。米国はどの年代でも「問題なし」が最多で45%~55%を占めるが、30代や40代で「問題あり」の回答が3割前後とやや多くなっている。50代以上では「わからない」との回答が3割以上とやや多い。
中国は若年層ほど「問題あり」の回答が多い傾向がみられ、30代では7割に上る。一方、60代では「問題なし」が唯一半数を超え、「問題あり」は4割以下となっている。韓国は40歳以下で「問題あり」の回答が多く、8割を超える。18歳~29歳や30代では「問題あり」は7割台で、「問題なし」が15%~18%と40代以上と比べて多めとなっている。
フランスでは50代のみ「問題あり」が5割を超える。その他の年代では、「問題あり」は4割を下回り、「問題なし」が5割前後と多い。イタリアは40代以上で「問題あり」が8割前後と多く、「問題なし」は2割未満。18歳~29歳では「問題あり」は6割未満と少なく、「問題なし」が4割近くを占める。30代は「問題あり」が7割強とやや高くなり、「問題なし」が2割。18歳~29歳や30代では「わからない」との回答がやや多い。
問題があると思う理由としては、各国とも「高齢世代を支える若者世代の負担が過大となるから」が最多で、日本では8割を超える。中国、韓国でも7割以上という結果となった。次いで日本では、「公的医療や社会保障制度の財源が厳しくなる」「社会や経済の縮小につながる」と続くが、中国や米国では「過疎化が進みインフラや社会サービスの維持が難しくなる」、デンマークでは「労働力が不足する」のほうが、それぞれ多く挙がっている。
逆に問題がない理由を聞くと、日本では「現在の人口が過大だと思うから」「労働力の不足はAIなどがカバーできる」「自国の少子化はそこまで深刻ではないから」が上位3項目。韓国、フランス、イタリアも「現在の人口が過大だと思うから」、米国、中国、スウェーデン、デンマークでは「自国の少子化はそこまで深刻ではない」がそれぞれ最多。中国や韓国では、日本と同様に「労働力の不足はAIなどでカバーできる」が3割以上と多い。
社会構造の違いがスコア差に
少子化の要因についても聞いた。日本では「仕事と子育てを両立できる環境の未整備」が約7割に達し、次いで、「出産・育児の経済的負担が大きすぎる」が6割以上。アメリカ、中国、韓国、イタリアでは、「出産・育児の経済的負担が大きすぎる」が、フランスでは「女性の社会進出に伴う晩婚・非婚化」、スウェーデンとデンマークでは「結婚や子どもを持つことが当たり前ではなくなった」が最も多い。
日本で少子化の要因とされた上位4項目は、韓国や中国でも比較的多く挙げられたが、フランスやスウェーデン、デンマークとはスコア差が大きい。社会構造の違いが顕著といえる。「出産・育児の経済的負担」は、米国、中国、韓国、イタリアでも多く上げられ、日本と同様となっている。