労働力不足の解消のため、様々な産業において、サービスロボットの積極的な導入が始まっている。サービスロボットの普及には、ロボットだけでなく、人とロボットが共存することを前提とした、安全運用のルールを整備することが必要不可欠。
こうした中で、日本が主導して開発したサービスロボットの安全運用マネジメントに関する国際規格(ISO31101)が正式に発行された。この規格により、安全性の高いロボットサービスの導入が促進され、労働力不足の解消の一助となることが期待される。
近年、日本では、少子高齢化による労働力不足が課題となっている。このような課題を解決するため、様々な産業において、サービスロボットの導入が始まっている。
例えば、レストランでの配膳や、駅や空港などでの床清掃や警備、案内、介護施設や医療施設などでの介護や配送などに利用されている。工場などで使われる産業用ロボットとは異なり、一般の人々がいる場所で使われるサービスロボットは、人に危害を加えることなく共存できるよう、安全の確保が重要であることは論を待たない。
そこで、日本が主導してサービスロボットの安全運用マネジメントに関する国際規格の開発を進め、11月10日に正式に発行された。
これまで、サービスロボットの製造者向けの安全要求を定めた国際規格はあったが、サービスロボットを利用する事業者向けの安全な運用に関する国際規格はなかった。
今回の規格では、サービス事業者がロボットサービスを提供する際に必要となる安全運用マネジメントの基本的な内容が示されている。特に、ロボットに対する知識が十分ではない不特定多数の人々を対象に、いかに安全性を確保するかがポイントになる。
具体的には、ロボットサービスに関わる危険(例:ロボットと人との衝突等)及び想定される原因(例:ブレーキの摩耗、保守点検の不備等)の抽出、それらを回避するために実施すべきリスクアセスメント、従業員の教育・訓練の実施、パフォーマンスの評価・改善など、サービス事業者が実施すべき要求事項について規定されている。
規格で定められている要求・推奨事項(例)は、「組織トップの関与」、「サービス事業者によるリスクアセスメント及びリスク低減策への取組み」、「安全マネジメントを確立」、「実施などする上で必要になる資源の提供」、「サービス運用時の計画及び管理」、「サービスを受ける人とのコミュニケーション」、「パフォーマンスの評価、継続的な改善」など。
経済産業省では、今回発行された国際規格により、ロボットサービスの安全が確保されることでサービスの普及が促進され、労働力不足の解決に寄与するだけでなく、日本発のロボットサービスや日本で開発された安全性の高いロボットが世界中で利用されることに大きく貢献するものと期待している。