2023年6月27日 日本初、病院給食の院外調理を完全自動化 人手不足の解消へ 第一食品とパナソニック

迫りくる労働人口減少を前に、病院給食の在り方が転換期を迎えている‐。第一食品とパナソニックコネクトは21日、両社で開発した日本初のトレイメイク自動化システムを第一食品の相模原工場に導入したと発表した。

これは、病院給食を提供するうえで高難度な作業とされる「トレイメイク工程(入院患者の病態に適合した調理品を組み合わせ、トレイ上に置く工程)」を自動化するもの。具体的には、病院から得た食事のオーダー情報をシステムに取り込んで、該当する調理品の皿を自動的に運び出し、最終的に食事が乗ったトレイを完成させる。

同システムでは、3時間あたりで1700食以上の生産を実現。運び出された皿をトレイに置くだけの簡単作業で正確なトレイメイクが出来る仕組みだ。初心者でも熟練した人と同レベル以上の生産スピードと正確性を可能にしたことで、作業スタッフの人数が約20%削減できるという。さらに、飲料やふりかけといった皿以外の提供物については、作業アシスト機能で難易度を低減。皿の種類は、主食皿や主菜皿、副菜皿、汁椀などの複数のパターンに対応している。

病院給食は、365日3食の提供が欠かせない。さらに、朝食の仕込みや夕食後の洗浄作業のため早朝・深夜勤務が必要なこともあり、人材確保が難航。現場では、深刻な人手不足に直面しているのが実態だ。

一方、今回のシステムでは、院内で行う給食業務をほぼ配膳と下膳のみに集中させ、その他の調理や盛り付け、洗浄といった大半をアウトソーシングすることが可能。そのため、一般的な院内で調理する方式と比べて、少ない人数で食事を提供できるようになる。

また、病院給食の大きな特徴の1つに、「患者の病態に合わせてきめ細かな栄養管理の元で提供するため、食事の提供パターンが多岐にわたる」という点がある。実際、トレイメイクは患者の病態やアレルギーなどに応じて行うため、その組み合わせは約1億通りに上るという。

両社は今後、病院給食における高難易度作業の平易化と省人化を図り、市場拡大が見込まれる完全院外調理を通じて、病院給食業界の労働環境を改善し、サステナビリティへ貢献することを目指している。そのうえ、全てのセントラルキッチンにおいて共同で各工程の自動化・効率化を進めると同時に、自社工場の新設を加速していく方針。加えて、セントラルキッチンの設立を検討している医療法人や給食会社と提携することにより、完全院外調理を全国へ普及させていきたい考えを示している。

 

作業イメージ(リリースより引用)


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