政府は先月末、2020年版の障害者白書を閣議決定した。障害福祉サービスは利用者やその家族の生活を継続するうえで欠かせないものだと指摘。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、十分な感染防止対策を前提とし、必要な各種サービスが継続的に提供されることが重要だと述べた。
このため厚生労働省では、地方自治体に対し、社会福祉施設等における感染拡大防止に向けた取り組みについて、感染者が発生した場合の留意事項や衛生用品等の適切な管理、障害福祉サービス等の報酬、人員、施設・設備及び運営基準等の柔軟な取扱いについて要請したことや、緊急事態宣言後の対応等について周知したことを明記。視聴覚障害者をはじめ、情報・コミュニケーション支援を必要とする人への感染防止策について、相談に関する連絡先(電話、FAX番号やメールアドレス)の周知、ホームページ上の情報のテキストデータや字幕映像の提供等、障害特性を踏まえた情報提供の配慮を地方自治体に対して求めたことを書き込んだ。
さらに、雇用関係ではハローワークに対し、感染拡大防止の観点から電話による職業相談や郵送、インターネットなど、対面以外の求職申し込みができることを周知。対面での支援を助成対象としていた支援対象障害者(障害者雇用安定助成金)の職場定着支援については、ICT等を活用したオンラインによる支援も対象に含めた。 加えて、事業者団体に対し、障害のある人の雇用の安定に向け、特段の配慮を求める要請を行った。
また、学校関係では、政府が示した方針に則り実施された臨時休校の期間、保護者が仕事を休めず、自宅において1人で過ごすことが難しいケースなどについて、地域の障害福祉サービス等の活用をはじめ、障害がある子供の居場所確保に取り組んだことを記した。
障害のある児童生徒の家庭学習支援にあたっては、障害種別の留意事項を通知。各学校において家庭学習への支援を積極的に行うことを要請した。
障害者白書は、障害者基本法に基づき、毎年国会に提出するもの。27回目となる今回は、障害への理解促進・交流等の取組や心のバリアフリー等の推進、各分野における障害者施策といった例年の項目に、「新型コロナウイルス感染症への対応」を補章として加えている。