岡山大学大学院環境生命科学研究科の宮竹貴久教授、ベンハー芙蓉株式会社(岐阜市)、富士フレーバー株式会社(東京都羽村市)らの共同研究グループは、貯蔵穀類の大害虫であるタバコシバンムシが、紫外領域のLEDの直射光に最もよく反応することを実証。LEDと既存の性フェロモンの効果を組み合わせることで、メスオスともに捕獲できることを実際の食品工場で実証し、害虫の行動特性を利用した新型の害虫誘殺トラップの開発に成功した。
タバコシバンムシは、小麦・米・大豆・菓子・乾麺などの貯蔵穀物の世界的な大害虫で、化学農薬に対する抵抗性系統が出現している。環境への負荷の視点からも化学的防除が困難で、性フェロモンを用いた方法では、オスしか誘引することができなかった。
今回開発した新トラップは、オスの誘引とともに、LEDの光に対する行動特性を利用して、メスの発生スポットも特定することができる。また、化学農薬と比べて、環境・生産に負荷に少ない方法で、今後、タバコシバンムシの発生スポットを特定でき、格段に効率的な防除・管理が実現できると期待される。
タバコシバンムシは、化学農薬に対する抵抗性が発達。また、性フェロモンでは、オスしか誘引できないため、貯蔵食品の世界的な大害虫となっている。こうした中で、岡山大などの共同研究グループは、タバコシバンムシを特異的に誘引できる波長と光特性を有したLEDと、性フェロモンを組み合わせた新型のタバコシバンムシ誘殺トラップの開発に成功したもの。
LADの効果により、例えば、食品工場内の複数個所に設置することで、タバコシバンムシの発生スポットを特定できるとともに、これまで誘引ができなかったメスのタバコシバンムシも捕獲できるため、格段に効率的な防除・管理が実現できる。
タバコシバンムシは、貯蔵中の穀類に大きなダメージを与える世界的害虫で、化学農薬に対しては抵抗性が発達している。そのため、環境への負荷の視点からも化学的防除が困難な状況となっている。
また、モニタリング用の性フェロモンは存在しているが、オスしか誘引できないために、完全に増殖を防ぐことができないのが現状。
既存の性フェロモンと新光源のLEDを組み合わせて開発した新型の誘殺トラップは、小麦・米・大豆・菜種などを材料に使った米食品・製パン工場・乾麺工場・菓子工場などの食品工場や食品ストック倉庫などにおいて、タバコシバンムシの発生スポットを特定でき、従来より、格段に効率的な防除・管理が実現できると見込まれている。