北朝鮮による日本人拉致問題は、わが国の主権及び国民の生命と安全に関する重大な問題であり、政府としては、最重要課題と位置付け、その解決に向けて全力で取り組んでいるところ。
拉致問題の解決のためには、世論の一層の喚起が不可欠であり、国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが、問題解決に向けた力強い後押しとなる。
一方、これまで拉致問題について触れる機会の少なかった若い世代への啓発が重要な課題となっている。
このため、政府の拉致問題対策本部及び文部科学省では、従来から児童生徒が拉致問題について深く認識し、拉致問題を人権問題として考える契機とするため、これまで学校教育における人権教育の実践の場面において拉致問題を扱う際、アニメ「めぐみ」及び映画「めぐみ」を積極的に授業で活用することを促してきた。
上映に当たり、拉致問題対策本部事務局職員から拉致問題の概要についての説明を希望する場合には、職員を派遣することも可能だという。しかも、謝金不要、旅費について同事務局が負担する。
アニメ「めぐみ」は、昭和52年、当時まだ中学1年生だった横田めぐみさんが、学校からの帰宅途中に北朝鮮当局により拉致された事件を題材に、残された家族の苦悩や、懸命な救出活動の模様を描いた25分のドキュメンタリー・アニメ。
映画「めぐみ」は、わずか13歳の時に北朝鮮に拉致されてしまった横田めぐみさんの話を中心に、拉致問題の経緯や被害者御家族の救出活動などを描いた90分のドキュメンタリー映画。
拉致問題対策本部は、平成29年度においては、全国の中高生を対象に、授業等でアニメ「めぐみ」を視聴した上で、自分自身で拉致問題について学習し、拉致問題解決のために自分に何ができるのか、何をすべきかを深く考える機会とすることを目的として、北朝鮮人権侵害問題啓発週間・作文コンクールを実施した。引き続き、新年度においても実施する予定だ。
また、平成30年度予算案において、初等中等教育段階の教員らを対象とした「北朝鮮による日本人拉致問題に関する教員研修会」に係る経費を新規計上している。内閣府による昨年秋の世論調査で、拉致問題への若年層の関心が低い傾向にあることが判明したことを踏まえ、教員に理解を深めてもらい、授業に反映することを目指す。今秋から実施する方針。