「まったりする」「がっつり食べる」など、新しい言葉が次々と生み出されるが、こうした新しい表現方法について8割以上の人が気にならなく見聞きしていることが、文化庁の国語世論調査で明らかとなった。また、6割以上が1か月に本を全く読まないという現状も明らかとなった。
あんまんは「anman」
国語への関心としては、約8割が「ある」と回答。特に、「日常の言葉遣いや話し方」「文字や表記の仕方、あるいは文章の書き方」「言葉の意味・由来や国語の歴史」に関心が持っているという声が多かった。
日本語の特徴で魅力を感じるところとしては、「漢字や平仮名、カタカナなどのさまざまな文字」が最多で64.2%。次いで、「敬語などの敬意を表す言葉遣い」「季節や気候を表す言葉が多様である」「ことわざなどの古くからある言葉」が58.1%、54.6%、40.3%と続く。「擬声語・擬態語が多様であること」「直接的でなく、それとなく伝える言葉遣い」も約4割が魅力を感じていると回答した。
現在、文化庁の有識者会議で議論を深めているローマ字表記に関しても聞いた。伸ばす音は符号を付けた書き方が読み書きしやすいという人が多く、さらに、「ン」は「m」ではなく、「n」を使う書き方が読みやすいと答えた人が9割強という結果となった。
例えば交番は、「kōban」が最も多く40.8%で、「kohban」が37.0%。ぼっちゃんは「bocchan」が47.3%で最も多く、「botchan」は33.9%。「bottyan」は16.6%だった。
あんまんは「anman」が93.3%で大多数を占め、「amman」は4.9%でわずかだった。
「さくっと」は56%が使う
時間や手間をかけずに終わらせるという意味で用いる「〝さくっと〟終わらせる」。この新しい表現の使用状況としては、56.2%が「使う」と回答した。〝動物などがふんわりと柔らかそう〟といった意味を有する「もふもふしている」は、52.6%が使用しているという。また、ほかの人が「まったりする」「がっつり食べよう」といった新しい言葉を使うことに対しては、8割台半ばが「気にならない」と答えた。
言葉の意味では、「悲喜こもごも」「悪運が強い」「うがった見方をする」「失笑する」は、辞書などで本来の意味とされていたものとは異なる意味だと思っている人が多いという。本来、悲しみと喜びを次々に味わることという意味を持つ「悲喜こもごも」は9割以上の人が「悲しむ人と喜ぶ人がさまざまにいる」という意味だと思っている。「悪運が強い」は悪い行いをしたのに、報いを受けずにいる様子が本来の意味。67.2%が「悪い状況になってもうまく助かる様子」と感じている。
物事の本質を捉えた見方をする、こらえ切れずに噴き出して笑うが本来の意味である「うがった見方をする」「失笑する」は、それぞれ「疑って掛かるような見方をする」「笑いも出ないくらいあきれる」という意味だと思っている人が多い。
ネットでの情報利用、5.5%増加
調査では、読書の割合についても聞いた。1か月に本を「読まない」人が6割強と多数派となり、「読まない」と回答した人のうち、SNS、インターネット記事を読む割合は7割台半ばとなった。平成30年度は本を読まない人の割合は47.3%であったことから、国民の読書離れが進んでいる現状が浮き彫りとなった。
1か月に1冊以上本を読むと回答した36.9%の人に、読む本をどのように選んでいるか尋ねたところ、書店で実際に手に取って選ぶ人が57.9%となったが、66.7%だった平成30年度と比べると、約10ポイントも減少している。
一方で、インターネットでの情報を利用している人は、33.4%。平成30年度と比べると、5.5ポイント増加した。
読書量に関しては、以前と比べて「減った」と回答した人が約7割で、減っている理由としては「情報機器で時間が取られる」との回答が43.6%と最多。平成30年度と比較すると、7.1ポイントアップ。「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」との回答は平成30年度比10.5ポイント減の38.9%だった。