中京圏の高速道路の料金体系については、国土交通省の社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会中京圏小委員会の基本方針で、大都市圏共通の理念である「料金の賢い3原則」を基本として新しい料金体系を確立することが必要であり、とりわけ、高速道路を賢く使う上で必要なネットワークの充実と賢く使うための合理的な料金体系の成立の両立について、特段の対応が必要とされたところである。国交省ではこの方針に基づき、今後のネットワーク充実のための財源確保も念頭に、円滑な交通処理や確実な債務償還も考慮しながら、中京圏の高速道路がより効率的に賢く使われるよう、料金に関する具体方針(案)を取りまとめた。新たな高速道路料金については、名古屋第二環状自動車道の開通に併せて導入する。
具体方針では、名古屋高速の料金水準について、現行の高速自動車国道の大都市近郊区間の水準を基本とする対距離制を導入することとし、高速道路ネットワーク全体での公平性や、名古屋都心部の交通の定時性の確保等を考慮し、必要な料金を設定する。この際、都心アクセス関連事業や名岐道路の整備について、名古屋高速道路公社が事業主体となることを前提とした上で、必要な財源確保にあたり、現行の料金水準を考慮すれば、当該整備に係る利用者の追加的な料金負担をできるだけ軽減する必要があることから、事業主体の責任を明確にした上で税負担も活用しつつ、現行の償還期間を延長する。併せて、物流を支える車の負担が大幅に増加しないよう、現行の名高速ETCコーポレートカード割引については継続するとともに、ETC夜間割引については一般道路の沿道環境を改善するため、交通容量に余裕のある高速道路の夜間利用を促進するという割引の目的を踏まえ、中型車以上に限定した上で、継続する。また、車種区分については、5車種区分へ統一する。
道路ネットワークを一体として捉え、名古屋都心部周辺の通過について、交通需要の偏在を防ぐとともに、都心部周辺の環境改善を図るため、東海環状自動車道の利用が料金の面において不利にならないよう、交通分散の観点から、経路によらず、起終点間の最短距離を基本に料金を決定することとする。なお、政策目的に照らして、都心部周辺の通過が促進されないよう、都心部周辺経由の料金の方が東海環状自動車道経由の料金よりも高い場合、その料金は引き下げないこととする。更に、東海環状自動車道をより賢く使うため、ETC2.0搭載車を対象とした料金割引(料金の引下げ)を追加する。また、名古屋第二環状自動車道についても、名古屋都心部の環境改善を図るため、その利用が料金の面で不利にならないよう、交通分散の観点から、経路によらず、起終点間の最短距離を基本に料金を決定することとする。
名古屋第二環状自動車道の開通に合わせた新たな料金体系の導入後、その交通に与える影響を検証し、対象となる路線や時間帯などを区切り、交通状況に応じた料金施策を導入することとする。
ETC2.0の早期普及のため、本具体方針(案)に基づく施策をはじめ、ETC2.0の普及促進を進める料金施策の導入を検討するとともに、関係機関と調整した上で、車載器の購入助成の実施も検討する。