文部科学省では、文教施設企画・防災部施設企画課長、総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課長、スポーツ庁政策課長の連名で、学校環境における工作物及び機器の安全点検を行うよう全国の教育委員会などに依頼している。
学校における事故防止について文科省は、かねて「学校施設における事故防止の留意点について」「学校安全資料「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」などにおいて、事故防止に必要な事項の周知及び事故防止のための適切な措置を講ずるよう要請している。
こうした中、去る4月27日に宮城県白石市で防球ネット支柱倒壊により児童が死傷した事故を受け、各学校設置者に対し防球ネットの緊急点検を要請したところだが、同月には福岡県北九州市の中学校で体育館内のバスケットゴールが落下し生徒が負傷するなど、校舎等内外で学校施設による事故が相次いで発生した。
同様の事故の再発防止と学校環境の安全確保に万全を期すためには、倒壊や落下などによって重大な事故につながる恐れのある工作物及び機器等について、点検すべき対象を今一度把握し、通常の使い方に加え、児童生徒らの目線や多様な行動等も考慮して安全点検を行うことが重要。
このため文科省では改めて、工作物などについて点検すべき対象を把握の上、安全点検を実施するとともに、学校の安全確保に万全を期すよう要請している。
具体的には、各学校で作成している安全点検表において、設置経緯が不明などといった理由により点検の対象外となっているものがないか、点検表の対象項目となっているが、点検が不十分で安全性の確認が行われていないものがないか確認。また、不足している項目を点検表に追加するとともに、項目に応じて点検の分担を明確にする。
点検において、目視等による点検では安全性の判断が困難な場合、または設置場所や構造上の複雑さ、表面の塗装等により金属疲労・腐食・破損等の状態を正確に把握できない場合は、専門的な点検を行い、安全性を確認する。その上で、今回見直した安全点検表をもとに、継続的かつ計画的に安全性の確認を行う。
目視・打音などの組合せで
安全点検の視点として、校舎外の「劣化・損傷の状況」「地面や建物等への固定の状態」などに関して、門扉や塀、バックネット、防球ネット、フェンス、国旗掲揚等、外灯、サッカーやバスケットボールなどのゴールポスト、鉄棒、ブランコ、ジャングルジム、倉庫、放送機器、空調室外機、記念碑、藤棚などのパーゴラなどを例示している。
校舎内では、高所に設置された体育器具、教室の上下可動式黒板、天吊りテレビなどをあげている。
点検対象については、学校種の違い、学校環境や地域の実情を考慮し、学校ごとに追加・変更を行うことに留意する。安全点検や事故防止対策は、本体や接合部だけでなく、児童生徒らの目線や多様な行動も考慮して行う。
点検に際しては、「目視」「触診」「打音」「振動」「負荷」「作動」など複数の方法を組み合わせて点検し安全性を確認する。