日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本感染症学会・日本呼吸器学会の4つの学会は1日、暑さが本格化するのを前に熱中症の予防に関する提言をまとめた。今年は新型コロナウイルス感染症の影響により、屋内の長時間滞在や一定の距離を保つために人と人のつながりが減少してしまうことで熱中症の発症リスクが上がる可能性があると危惧している。
提言では、マスクを着用することによって心拍数や呼吸数に影響が出るほか、体感温度が上昇し、体に負担がかかると考えられていると指摘。人との距離を取ったうえで、周囲の環境などに十分配慮しつつ、適宜でマスクを外し水分補給するよう促した。
なお、N95などの高機能マスクについては、感染の可能性があるといった特殊な状況を除いて、不必要に使用する必要はないとした。通気性が低く呼吸抵抗が強いため、装着時に一般的なサージカルマスクに比べて心拍数が10%ほど上昇、マスク内の温度が平均で1℃高く、マスク内湿度も平均で10%程度上昇するといわれている。マスクの表面に汗がつくことで通気性が下がり、呼吸がしづらくなるとの報告もあるという。
さらに、体が暑さに慣れていない時期が危険だとして人との距離を保ちつつ、室内・室外での適度な運動を行い、少しずつ暑さに体を慣れることが必要だと訴えている。まず、自宅の中で活動量・運動量を増やすため、座ったままでなく、立ち上がっての足踏みやスクワット、体操などに取り組むよう呼び掛けた。
また、1人暮らしの高齢者や日常生活動作に支障がある人など、熱中症のリスクが高い人に対しては、社会的な孤立を防ぐため、頻繁に安全確認などの連絡を取り合うよう指示。
・家族や友人と電話で話し、元気なところを確認する。
・メール、SNSなどを活用し、頻回に体調を確認する。
・身体の異常があったら声を掛けられるよう、連絡先を控えておく、教えておく。
‐といった点を心がけるよう求めた。