内閣府は27日、「国民生活に関する世論調査」の結果を公表した。それによると政府に充実を求める政策(複数回答)では、「医療・年金など社会保障の整備」が64.4%で最も多かった。次いで「景気対策」の56.2%、「高齢社会対策」の51.9%が続いた。また、「防災」への要望は25.7%とこれまでで最も高かった。年齢別では、「社会保障整備」と「高齢社会対策」を挙げたのは50歳代、60歳代に多く、「景気対策」は30歳代から50歳代の間で多かった。
調査は1958年からほぼ毎年にわたって実施。6月23日から7月10日に、全国の18歳以上の男女1万人を対象として個別面接方式で行った。このうち6281人(有効回収率62.8%)から有効な回答を得た。公職選挙法改正による18歳選挙権の導入に合わせて、従来は20歳以上としていた対象年齢を18歳以上に引き下げた。18歳以下の回答者は89人だった。
■ 所得・収入の満足感は2年連続改善
現在の所得や収入について尋ねたところ、「満足」、「まあ満足」と答えた人は計48.1%。前年からは2.4ポイント増え、2年連続の改善となった。一方、「不満」と「やや不満」を合わせた値は計49.6%(前年比3.1ポイント減)で、両者の差は前回の7ポイントから1.5ポイントに縮小。「満足」が「不満」を上回ったのは、20年前の1996年が最後だ。
現在の生活に関して質問したところ、「満足」と「まあ満足」を足した答えは去年から横ばいの70.1%で、「不満」と「やや不満」の計28.5%を大きく上回っていた。
去年の同時期と比べた生活の向上感については、「同じようなもの」という回答が76.7%で最多。次いで、「低下している」が17.5%、「向上している」が5.5%だった。性・年齢別では、「同じようなもの」は女性の40歳代で、「低下している」は男女ともに60歳代と70歳代以上で多くなっている。
■ 住環境や食生活では高い満足感
現在の生活について、各面の満足度を調べた項目では、「住環境」の81.4%と、「食生活」の88.0%が特に高かった。さらに、自動車や電化製品、家具などの「耐久消費材」への満足度は75.3%。逆に不満を示す割合は、「住生活」が17.7%、「食生活」が11.3%、「耐久消費材」が22.1%となっている。
そのほか、「レジャー・余暇生活」では62.2%が満足を、34.2%が不満を示し、「自己啓発・能力向上」については61.1%が満足を、30.9%が不満を示した。
■ 生活の重心は「心の豊かさ」に
今後の生活の見通しを尋ねたところ、「良くなっていく」は8.7%、「悪くなっていく」は25.8%だった。また、生活の力点について「心」と「物」のどちらに重心を置くかでは、前者を選んだ人が60.2%、後者を選んだ人が31.3%だった。