2024年11月27日 採用環境、「厳しい」がほとんど 東商が企業調査、充足率半数未満は47%に

東京商工会議所が公表した新卒者の採用・選考活動動向調査結果によると、ほとんどの企業が2025年度新卒者の採用環境を「厳しい」と感じていることが明らかとなった。回答率は98.5%。さらに、採用計画人数に対する充足率半数未満の企業が47.5%を占めるなど、多くの企業が新卒採用に苦戦している現状も浮き彫りとなった。

この調査は、東商が主催した会員企業と学校法人との就職情報会への参加企業316社を対象に実施した。回答企業は製造業が22.8%、建設業16.8%、卸売業13.6%、その他サービス業22.5%など。従業員規模は「101人~300人」が最も多く30.7%、「501人以上」24.7%、「51人~100人」15.5%、「21人~50人」12.0%、「301人~500人」13.3%、「20人以下」3.8%。

調査によると、2025年度新卒者の採用環境(採用市場)の感じ方について尋ねたところ、「とても厳しい採用環境である(採用がとても厳しい)」が69.9%、「多少厳しい採用環境である(採用が多少困難)」28.8%と、98.7%が「厳しい採用環境である(採用が困難)」と答えた。

採用計画人数に対する充足率を聞いたところ、計画以上の内々定者数を確保している企業は12.0%に留まった。さらに、充足率が50%未満の企業が47.5%を占めており、内々定者がいない企業が19.9%となるなど、企業が新卒採用に苦戦しているようすがうかがえた。ちなみに昨年秋調査時の充足率50%未満の企業割合は49.4%。若干改善したものの、依然として企業にとっては厳しい状況であることが明らかとなった。

企業が新卒採用に苦慮している様子がうかがわれるなか、来年1月以降も採用・選考活動を実施する予定の企業は24.6%となった。一方で、33.9%の企業は「未定・わからない」と回答していることから、多くの企業が2025年新卒者の採用・選考活動の終了予定時期を見通せない状況であることもわかった。

 

評価材料取得就業体験 「実施」は25%に留まる

調査ではさらに、大学生等のインターンシップの取り扱い変更に掛かる認知度も尋ねた。政府のインターンシップに関する合意が改正され、2023年度から、2025年3月に卒業・修了する学生が参加する一定の基準を満たすインターンシップで得られた学生情報については、企業は広報活動や採用選考活動の開始時期以降にそれぞれ使用できるようになるなど、大学生等のインターンシップの取り扱いが変更された。

このインターンシップなど、政府合意による「学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取組の四つの類型」について、各類型の名称と内容の認知度を調査。59.2%の企業が「名称・内容ともしている」と回答した。

また、調査では、政府合意の改正により定義された採用選考活動時での学生の評価材料を取得することができるインターンシップ(評価材料取得インターンシップ)について、今年度の実施状況を確認。「実施した、実施する予定がある」と回答した企業の割合は25.8%に留まった。

 

半数以上が初任給引き上げ

ここ数年、初任給引き上げなどに関する報道が見聞するなか、2025年新卒者の初任給引き上げに関しては、「引き上げた(引き上げる予定)」と回答した企業の割合は53.5%で半数以上を占めた。

引き上げ率としては「3.0%以上」と回答した企業の割合が37.5%。引き上げの理由としては、「人材を確保するため」と回答した企業が77.0%と最多。物価上昇への対応や、在職者のベースアップを行ったことも5割近くの企業が理由としてあげた。


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