岡村肇会計検査院長は7日、令和4年度決算検査報告を岸田文雄内閣総理大臣に提出した。令和4年度決算検査報告に掲記した事項等の総件数は344件であり、指摘金額は580億2214万円(327件分)にのぼり、このほかに問題があるとして取り上げた事態の背景金額が15件(意見表示・処置要求11件、処置済4件)についてある。内訳では、法律に違反するなどの不当事項が285件で指摘金額97億6375万円、意見表示・処置要求事項が20件で309億6072万円、検査院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項が28件で指摘金額173億615万円となっている。
令和4年度決算検査報告では、我が国の社会経済の動向や財政の現状等を踏まえて、特に、国民の関心の高い事項等に関する検査の結果として、新型コロナウイルス感染症対策関係経費等、社会保障、国民生活の安全性の確保、デジタル、環境及びエネルギー等の様々な分野に関するものを掲記している。このほか、制度・事業の効果、予算の適正な執行、会計経理の適正な処理、資産、基金等のストックの有効活用など多角的な着眼点からの指摘や問題提起について多数掲記している。
検査報告に掲記した件数、指摘金額を前年度と比較すると、件数で34件増加し、指摘金額では125億円増加した。また、過去10年で見た場合、件数は5番目に少なく、指摘金額は3番目に少なかった。
検査対象機関に対する検査の方法は、在庁検査と実地検査である。
在庁検査は、4年度分の計算書12万5千余冊及びそれらの証拠書類3707万余枚等(これらの紙媒体の証拠書類のほか、電子情報処理組織の使用または電磁的記録媒体により受領したものがある)を受領し内容を確認。また、事務、事業等の実施状況等に関する資料を聴取するとともに、情報通信システムを活用して関係者から説明を聴取した。
実地検査は、①本省、本社、主要な地方出先機関等検査上重要な箇所4556箇所のうち1717箇所(実施率37.6%)、②①に準ずる箇所(その他の出先機関等)6568箇所のうち751箇所(同11.4%)で実施しており、これらを合わせた計1万1124箇所のうち2468箇所で実施し、実施率は22.1%となった。これら以外の箇所(郵便局、駅等)は、2万346箇所のうち41箇所で実地検査を実施しており、これらを含めた実施率は7.9%となっている。
4年次に引き続き、5年次の実地検査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止への対応等として、同感染症による検査対象機関への影響等に配慮して実施した。これらの実地検査に要した人日数は2万7000人日となっている。
今回の報告では、国会及び内閣に対する報告(随時報告)として、「新型コロナウイルス感染症患者受入れのための病床確保事業等の実施状況等について」、「東日本大震災からの復興等に関する事業の実施状況等について」など3件を掲記している。
また、国会からの検査要請事項に関する報告として、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等について」、「放射性物質汚染対処特措法3事業等の入札、落札、契約金額等の状況について」など4件を掲記している。
さらに、特定検査対象に関する検査状況として、「国から個人事業者を対象として支給された持続化給付金の申告状況等について」「食料の安定供給に向けた取組について」など4件を掲記している。