福島県立医科大学はこのたび、所得の高さと笑いの頻度に関係性があるという研究結果を発表した。友人と会う機会が多かったり、家族と同居していたりするなど、社会関係が充実している人は、笑いの頻度が高いこともわかった。
調査は、65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者約2万人を対象に行った。所得の多寡に応じて、男性は、①157万円未満、②157万円以上202万円未満、③202万円以上318万円未満、④318万円以上‐に分類。女性は、①124万円未満、②124万円以上194万円未満、③194万円以上275万円未満、④275万円以上‐に分けた。それぞれに対し、笑う頻度を尋ね、「ほぼ毎日声を出して笑う」と回答した人をカウントし、所得が低い人を基準に4つの対象を比較した。さらに、所得以外に年齢や手段的日常生活動作、抑うつ状態、友人と会う頻度、社会参加グループの数、同居人数を用いて分析。社会関係としては、友人と会う頻度、社会参加グループの数、同居人数を指標に据えた。
その結果、男性は①を基準にした場合、②が1.03倍、③が1.12倍、④が1.21倍、女性は①に対し②が0.98倍、③が1.06倍、④が1.14倍よく笑っていた。また、社会関係が希薄な人は笑いの頻度が少ないことも判明した。
さらに、所得は高いものの、友人と会う頻度が少なく1人暮らしで「社会関係が希薄な人」よりも、所得が低くても友人とよく会い、何人かで住んでいるなど社会関係が充実している人の方がよく笑うこともわかった。
また、女性に関しては、友人とあまり会わずに社会参加グループが少ないなど社会関係が希薄な人は、所得と笑いの頻度が関連していたが、社会関係が充実している人は関連性がみられなかった。
研究グループは、高齢者の社会関係を充実させることで笑いの頻度が増加し、高齢者の健康増進につながる可能性があると指摘している。