「憲法改正の国民投票を行うのなら、投票に行きたい」。若者の7割がこう答えたことが、日本財団が17歳から19歳のハイティーンを対象に行っている調査で明らかになった。「これからの社会を担うのは自分たち」と、若者としての自覚と責任をうかがわせた。一方で、戦後70年以上にわたり一度も憲法が改正されていないことをネガティブに捉えている若者は約2割と少ない。多くの若者が現在の憲法を今の時代に合っているものと答えた。
〝国民主権〟〝基本的人権の尊重〟〝平和主義〟の『憲法の三原則』については、全体の7割超が内容を理解している。このうち〝平和主義〟が今の社会で機能していると答えたのは55.0%で、〝国民主権〟や〝基本的人権の尊重〟が機能しているとする割合よりも高かった。
国民主権が現在の社会で機能していると答えた理由としては「選挙などにより国民の意思が反映されるから」「しっかりと選挙が行われ、独裁的な政治ではない」など、選挙制度や選挙権があることなどをあげた。
反対に、機能していないとする理由としては「国民の声が直接反映できるようなシステムになっていない」「国民の声を聞いているかもしれないが、それが反映されているとは言えない」など、国民の意思が反映されにくいことや、「選挙権が与えられているにも関わらず、投票権が非常に低い」と、国民の側の問題を指摘する意見もみられた。
基本的人権の尊重に関しては、機能しているとする理由として、「人権を意識した活動や教育を推進する動きがある」「弱者の保護など、発展途上ではあるが支援制度がある」という声が聞かれた。一方で、機能していない理由としては、女性差別やLGBTに関する懸念を表明。労働環境の悪さや、差別・不平等、いじめ・虐待、各種のハラスメントなどについても言及があった。
平等主義が機能しているとの理由としては「少なくとも戦後から今まで他国との戦争が行われていない」ことをあげるとともに、「憲法で規定された範囲内で自衛隊の活動を行っている」と、自衛隊の活動も憲法に基づいたものになっているとの意見が聞かれた。
逆に、機能していないと考える理由としては「憲法9条の改正を進めている」「自衛隊は戦力」「近隣諸国との関係が悪化していると思う」などの意見が出されている。
時代に合った憲法への改正望む声も
憲法が73年間一度も改正されていないことに関しても、若者の意見を聞いた。現在の憲法が今の社会に合っていない、または合っていない面が多いと答えたのは約2割と少数派。「合っている」「概ね合っている」が53.9%と過半数を占めた。「わからない」は23.3%。
国会で憲法改正の議論が行われていることに対しては、「内容を理解している」と答えたのは33.8%。自分自身が憲法改正に関心があるとしたのは59.8%で、その理由は「日本国憲法の三原則をしっかりと守りつつ、新たな時代に適した憲法をつくっていかなければならないから」など、時代に合った憲法への改正を望むからだという。また、「憲法改正によって集団的自衛権が認められると、自衛隊の出動が考えられるため戦争勃発の危険が高まると思う」など、自衛隊の位置づけを理由とする若者もみられた。
関心がないとする理由としては「日常生活に影響があるとは感じない」「憲法を身近に感じる機会がほとんどない」など、ある程度〝自分ごと〟と感じられずに興味・関心が持てないことがうかがえた。さらに、「難しい内容だから取っつき難い。わかりやすく説明してほしい」のように、憲法改正が十分に理解できていないことも明らかとなった。
また、憲法改正に必要となる国民投票に関しては、68.9%と約7割が「投票に行きたい」と答えた。その理由として、「これからの社会を担うのは自分たち世代」と述べるなど、若者としての自覚と責任をうかがわせた。