国土交通省は、バリアフリー・ナビプロジェクト(ICTを活用した歩行者移動支援)の推進を図るため、歩行空間での段差や幅員、勾配等のバリアフリーに関する情報を入力し、データ化することができる「歩行空間ネットワークデータ整備ツール(試行版)」を無償で提供する。従来は、データ作成の際に、現地調査した結果をパソコンのGISソフト上でデータ化する必要があったが、データ整備ツールでは、現地調査と並行して簡易に情報の入力、データ化を行うことができる。国交省では今後、データ整備ツールの提供を通じて、歩行空間でのバリアフリー情報のオープンデータ化を一層推進していく方針だ。
国交省では、ユニバーサル社会の構築に向けて、例えば車いすの者が通行できるバリアフリールートをスマートフォンを通じてナビゲーションする等、ICTを活用した歩行者移動支援サービスの普及を目指し、バリアフリー・ナビプロジェクトを推進している。
このようなサービスを実現するためには、歩行空間での段差や幅員、勾配等のバリアフリーに関する情報をデータ化する必要がある。
国交省が提供するデータ整備ツールは、歩行空間のバリアフリーに関する情報をデータ化するWebツール。
歩行空間ネットワークデータは、段差や縦断勾配等のバリア情報を含んだ歩行空間の状況を表すデータで、歩行空間のバリアフリーに関する情報を付与した線データ「リンク」と、リンクの結節点である点データ「ノード」により構成される。
データ整備ツールを用いた歩行空間ネットワークデータの作成は、国土地理院の地理院地図を背景情報とし、図形(リンク・ノード)の入力を行い、リンクとノードに付与する属性情報は、「歩行空間ネットワークデータ等整備仕様案(平成29年3月版)」で定義している必須項目に従い選択入力する。作成した歩行空間ネットワークデータの形状と属性情報の内容は、閲覧機能で確認できる。また、作成したデータをCSV、Shapefile、GeoJSONの形式で出力するエクスポート機能、データ整備ツール以外の方法で作成したデータを、データ整備ツールに取り込むインポート機能を備えている。
図形に入力する属性情報については、「歩行空間ネットワークデータ等整備仕様案(平成29年3月版)」で定義している必須の情報項目に従って、リンクとノードそれぞれについて属性情報を入力する。 動作環境について、データ整備ツールは、クラウド・サーバにインストールして使用。データ整備ツールの機能は、PCまたはタブレット端末を用いて、ブラウザを介して使用する。データ整備ツールは、歩行者移動支援に関する取組を行う国の機関・地方公共団体・大学等の研究機関に限り利用できる。
利用にあたっては、利用許諾書に同意した上で、所定の利用申請書に記入した上で、国交省総合政策局総務課長宛に提出。申請者宛にデータ整備ツールに関するプログラムファイル、セットアップ手順書一式を、CD‐R等で提供する。
データ整備ツールは無償で利用することができる。