厚生労働省は12月22日、2017年の人口動態統計の年間推計を発表した。それによると、昨年生まれた赤ちゃんは94万1000人。人数は2016年から約3万6000人減り、統計が始まった1899年から最少になる見込みだ。100万人を割り込むのは2年連続となる。生まれてくる子どもが減ってしまうと、医療や介護、年金といった社会保障制度の「支え手」も少なくなる。将来の保険財政は一段と厳しさを増す見通しだ。
調査は国内の日本人を対象に、その年の1月から10月までのデータなどをもとに推計値を算出したもの。それによると、昨年の死亡数は2016年から約3万6000人増の134万4000人で1918年、1920年に次いで3番目の多さだった。出生数と死亡数を差し引きした人口の「自然減」は40万3000人。死亡数が出生数を上回るのは11年連続のことになる。「自然減」は2010年に10万人、2011年に20万人、2016年に30万人、そして2017年に初めて40万人を突破。減少幅は10年間でおよそ21.8倍になっている。
厚労省の担当者は、自然減が進んでいる要因について、「出産年齢人口とされる25歳から39歳の女性が減っていることが影響しているのではないか」と説明。さらに、女性が一生で産む子どもの人数を示す合計特殊出生率が、2016年の1.44からほぼ横ばいになる見通しだとして、「出産を望む人が赤ちゃんを産めるよう、保育の受け皿確保といった環境整備を行う必要があると考えている」と述べた。
そのほか、今年結婚したカップルは約1万4000組減の60万7000組と戦後で最も少ない。離婚件数は、約5000組減の21万2000組だった。人口1000人あたりでみた割合は、婚姻率が過去最少の4.9、離婚率が1.70。死産数も戦後で最も少ない20000胎となった。