2016年6月16日 平成27年度国土交通白書を公表 戦略的なインフラマネジメントの重要性を記述

「平成27年度国土交通白書」が10日の閣議で配布、公表された。今回の白書では、「我が国の経済成長を支える国土交通行政の展開 ~生産性革命をもたらす戦略的なインフラマネジメント~」と題して、インフラ整備が我が国の経済成長をもたらした歴史を考察するとともに、人口減少下で経済成長を実現するためには生産性の向上がカギという観点から、生産性革命をもたらす戦略的なインフラマネジメントの重要性について記述している。また、広い範囲に甚大な被害をもたらした平成28年(2016年)熊本地震について、発災後約1ヵ月の国土交通省の取組を「追部」として記述している。

インフラ整備の歴史と経済成長について、17世紀以降の新田開発とかんがい整備により、農業生産量は約3割増加していることや、江戸幕府が整備した五街道をはじめとする全国の街道が現在も我が国の交通網を形成している(鉄道・高速道路)ことを記述。また、新幹線整備による日帰り可能地域の拡大や、東京から各道府県庁への貨物輸送に要する時間が約40年間に最大500分強短縮したことも取り上げ、近世以降の我が国の歴史を振り返ると、インフラはその時々の人々の生活や経済を支えてきたとの考えを示している。

一方、我が国は2008年をピークに人口減少社会へ突入し、人口減少下でも持続的な経済成長を実現するためには、生産性の向上がカギであり、特に、道路移動時間の約4割が渋滞に費やされている状況など、様々な社会の「ムダ」を減らすことで、経済活動や国民生活を向上させることができると提言。その上で、今後は、安全・安心の確保を図りつつ、地域の潜在力を引き出し、社会全体の生産性を高める「社会のベース」の生産性を向上させるストック効果の高いインフラの戦略的な整備が一層求められると記述している。

また、生産性向上等を目指した戦略的なインフラマネジメントの事例として、道路・港湾等のインフラ整備を背景に、大手製剤メーカーが進出し、国産材輸出が増加した事例(東九州自動車道、細島港等)、インフラ整備により水害リスクが大きく低減し、企業立地が急増した事例(首都圏外郭放水路)を紹介している。

 

インフラに関する意識等

インフラに関する民間事業者の意識について、国交省がアンケート調査を実施。生産性向上のためにインフラに期待することとして、移動(輸送)の時間・コストの削減、従業員の確保のための通勤利便性への期待が大きいことを記述。

また、インフラを賢く使う取組を提案するなど、積極的に参画意思を示す民間事業者は多くないが、産業別では鉱業・建設業と比べて、飲食・宿泊業が突出して多く、基礎素材型製造業では極めて少ないことをあげている。

その一方で、国民アンケートでは、住民参加によるインフラ維持管理について高い参画意識を持っていることを指摘。

インフラ整備によるストック効果に企業が着目し、その効果を最大限活用するよう、インフラ整備によるストック効果の「見える化」・「見せる化」の取組みが必要とし、ビッグデータの活用、アンケートの活用、関東インフラプロジェクト・アーカイブスなどを紹介している。


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