介護保険最新情報Vol.977でも取り上げられた国の新たな調査レポート − 。居宅介護支援の現場の実態などを報告するものだが、この中では、事業所でICTの活用が十分に進んでいない現状が明らかにされている。
それによると、他の介護サービス事業所と文書をやり取りする具体的な方法では、「手渡し(88.3%)」「FAX(82.9%)」「郵送(78.1%)」の多さが際立つ。「連携ツール・ネットワーク」は9.0%、「クラウドサービス」は4.4%に留まっていた。
コロナ禍を踏まえたサービス担当者会議の開催方法では、「通常の訪問・対面」が74.7%で最多。それ以外の開催方法をツールごとにみると、「電話」が78.1%で最も選ばれていた。「テレビ会議」は2.6%のみ。「その他」が42.1%となっているが、これはFAXや郵送など紙ベースの情報共有が大半を占めるという。
この調査は、厚生労働省が民間のシンクタンクに委託して昨年度に実施したもの(2020年度老健事業)。全国2000の居宅介護支援事業所を対象としている。
ICTを活用していない理由を尋ねたところ、最も多かったのは63.5%の「法人がICT化に取り組んでいないため」。以下、「他の介護サービス事業所がICTに対応していないため」が48.0%、「セキュリティに不安があるため」が40.3%、「十分なコミュニケーションができないため」が31.5%と続く。
また、「ICTの導入・維持にはコストがかかる」「ICTの知識がない」などの答えも少なくなかった。
■ 担当者会議のICT化には慎重論も
サービス担当者会議の訪問をICTで代替しても問題ないか?
この質問に対する答え(※)は、「代替してもよい」が46.8%、「どちらともいえない」が34.6%、「代替すべきでない」が13.8%。代替する際の懸念では、「参加者とのコミュニケーションが困難(72.4%)」「利用者・家族の理解を得ることが困難(56.9%)」などが特に目立っていた。
※ この答え以外のパーセンテージは、いずれも複数回答の結果。
このほか、「ICTを通じたコミュニケーションが十分に可能な利用者に限定すべき」「初回ではなく更新時のみ代替すべき」との声も多く寄せられていた。