2021年4月23日 少子化補完の移民受け入れ 肯定意見、わが国は8ヵ国中最下位の3割弱

日本財団が国内外8ヵ国の女性に対して行った意識調査によると、少子化を補完するための移民受け入れについて、わが国ではあまり肯定的な意見が聞かれなかったことが明らかとなった。8ヵ国中最下位となる3割弱。移民受け入れに最も肯定的であったのは、意外にも中国で、7割という8ヵ国中でも突出した肯定率を示した。また、まずは自国での出生率の増加を図るとの回答はわが国が最も多く、8割強が「そう思う」と答えた。

調査は日本をはじめ米国、中国、韓国、フランス、イタリア、スウェーデン、デンマークの成人女性を対象に、インターネットで行った。

少子化対策としての移民受け入れについて聞いたところ、「補充移民は少子化対策として有効」という問題提起に対して、日本では「とてもそう思う」「そう思う」というポジティブな意見が3割弱。8ヵ国中最も低く、「そう思わない」などネガティブな意見が半数を超えた。中国では肯定的な意見が7割強で、8ヵ国中で突出して高い。次いで、アメリカ、イタリア、韓国が「とてもそう思う」「そう思う」が4割台となっている。

多彩な外国人材の移民は国を豊かにするという見方があるが、わが国ではこの見解について、「とてもそう思う」「そう思う」が4割弱で、8ヵ国中最も低い。また、「そう思わない」など否定的な意見が肯定的な声を上回るのは日本のみ。「とてもそう思う」「そう思う」はアメリカ、イタリアで7割超、スウェーデン、韓国でも6割前後を占めている。

また、少子化対策として、移民受け入れでなく、まずは自国で出生率の増加などを図るべきという考え方に関しても調査した。わが国では8割強が「とてもそう思う」「そう思う」と回答。8ヵ国中最も多く、「そう思わない」などは1割に満たない。イタリア、中国でも「そう思う」などが8割以上と高い。一方、スウェーデンでは、「そう思う」と「思わない」がともに34%で、「わからない」も32%と回答が分散している。

移民受け入れにあたり、社会保障や医療保険制度を整備しないと混乱するとの指摘があるが、わが国では、8ヵ国中最も高い9割以上がこの分析に同意。中国、韓国でも約8割はが「そう思う」と答えた。一方、デンマークでは、同意は4割に留まり、「わからない」が4割強を占めた。

入国手続きを厳格化して不法移民を防ぐことが先決とする声も聞かれるが、わが国は6割がこの意見への同意を示した。デンマーク、アメリカ、スウェーデンと同水準、他の4ヵ国では「そう思う」が7割以上で、中国に至っては8割弱が入国手続きの厳格化を求めた。

さらに、「労働力の不足は定年の引き上げなどでまずカバーすべき」という考えに対しては、わが国では肯定意見は5割弱で、否定的な見解は4割弱となった。韓国、中国では「そう思う」などが6割を超えて高く、わが国を上回った。デンマーク、スウェーデン、イタリア、フランスでは肯定意見は2割に留まり、6割以上が否定的な回答を行った。

 

低いわが国婚外子の受容度

また、調査では、婚外子の受容度に関しても確認した。子どもを持つ場合に結婚が前提条件となるか聞いたところ、わが国では「なる」の割合が67%と高い。「ならない」は14%で、他の国に比べて低かった。さらに「わからない」という回答も比較的多く、2割強を占めた。

8ヵ国の状況をみると、中国は日本と同様に「なる」が68%と高い。次いで、韓国、アメリカで「なる」の割合が5割台と高い一方、スウェーデン、フランス、デンマーク、イタリアでは「ならない」が8割前後に上るなど、国によって意識の違いが鮮明になっている。

未婚のまま子供を持つことに関しては、わが国では、「抵抗がある」が65%と8ヵ国中最も高く、否定的な反応が多いことがわかった。一方、スウェーデンは「抵抗感が全くない」が8割弱を占め、イタリア、フランス、デンマークでも同様の意見が7割前後。アメリカは肯定的な意見が5割強、否定的な声が4割弱となっている。


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