2021年3月16日 小児がん患者や家族、「相談場所ある」は4割 支援に課題 がんセンター調査で明らかに

国立がん研究センターは6日、小児がん患者やその家族らに関する初の全国調査の結果を公表した。それによると、小児がんの患者やその家族らが「悩み・負担を相談できる支援・サービス・場所が十分にあると思う」という答えが39.7%だった。

調査は18歳以下でがんと診断された患者を対象に実施。がん登録を行っている全国97施設の協力を得て、1029人の家族などから有効な答えを回収した。

そのほかの社会的な支援体制をみると、医療費を確保するために生活へ何らかの影響があったと回答した人は41.7%、医療費以外に経済的負担が大きかったものは交通費で60.7%、付き添い家族の生活費・宿泊費で57.8%だった。

また、患者のケアのために仕事や働き方を変えた家族がいたと回答した人は65.5%で、職場や仕事上の関係者から患者のケアと仕事を両立できるような勤務上の配慮があったと思う人は58.9%となっている。

調査結果を受け、がんセンターは「がん患者家族への支援について、課題が残されていることが明らかになった」と結論付けた。そのうえで、今後も調査を行い、経年的にエビデンスを蓄積して継続した評価体制を維持することが、がん医療発展に重要になると述べている。

 

■ 高校で高い退学率

そのほか、教育面をみると、患者ががんと診断されたときに就学していた割合は50.6%。「治療のために転校や休学、退学した」と答えた人は87.5%に上った。このうち、何らかの就学支援制度を利用したと回答した人は75.9%、転校・休学・退学の後に復学したと回答した人は92.6%だった。

転校・休学・退学を年代別にみると、小学生と中学生は転校を選択する割合が多く、それぞれ81.1%と59.3%で過半数を占める。一方、高校生は休学を選ぶ割合が61.3%と最も多かったほか、退学したケースの割合も8.8%と高かった。

この結果についてがんセンターは、「小学校、中学校に比較して、高等学校に就学していた患者は退学の割合が高く、情報提供、支援の利用ともに低い傾向だった」と分析。「第3期がん対策基本計画では、がんになったその後を生きていく上で直面する課題を乗り越えていくためのサポート『サバイバーシップ支援』を取り組むべき課題の一つとしてあげており、教育機会の提供は、サバイバーシップ支援の点からも重要だ」としている。

 

小児がん患者の就学状況(がんセンターリリースより引用)

 


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