(株)日本政策金融公庫農林水産事業は、今年7月に実施した「平成28年度上半期消費者動向調査」で、「調理すること」への関心度や調理に対する考え方などについて調査を行った。その結果、家庭内での調理技術の継承は3割以下に留まり、多くが料理本やインターネットなどを参考にしていることが分かった。また、「調理すること」への関心度は、全体で約6割が「関心ある」としたものの、「調理の頻度」に関しては、「基本的に調理をしない」が約2割という結果となった。
この調査は、今年7月1日から12日までの期間に行われたもの。全国の20歳代から70歳代の男女各1000人の計2000人を対象に、インターネットによるアンケート調査が行われた。
男性の約5割が「調理すること」に関心があると回答、女性では7割
調査結果によると、日常生活において「調理すること」への関心度について聞いたところ、全体で「大いに関心がある」との回答は13.8%となり、25.5%を占めた「関心がある」、21.9%を占めた「やや関心がある」も含めて「関心がある」とした者は6割にのぼっており、男性でも約5割、女性では約7割という高い割合となっている。
また、調理の頻度については、48.2%が「ほぼ毎日」としており、特に女性では76.8%と高くなっている。一方、男性では19.6%に留まり、家庭内における調理者は女性中心であることが明らかになった。
「基本的に調理をしない」との回答割合は全体で19.5%となっており、男性では34.1%となった。
調理は「できるだけ簡単にしたい」、「おいしいものを作りたい」との意向
調理の頻度に関する質問で「基本的に調理をしない」以外を選択した人に「調理をすること」に対する考え方を聞いたところ、「できるだけ簡単にしたい」が34.8%で最多となり、次いで「おいしいものを作りたい」が29.4%という結果となった。
男女間の違いをみると、女性では「なるべく手作りしたい」、「栄養バランスがとれたものにしたい」という割合が男性よりも顕著に高くなるという結果となった。
また、「調理技術向上のために取り組んでいる、または取り組んだこと」については、「料理本やインターネットなどを参考にする」が50.8%で最多となった。家庭内での料理技術の継承(「家族から教えてもらう」)は2番目に多い回答となったが、27.9%と3割以下に留まっている。
調理時間短縮のためには「事前準備」
「基本的に調理をしない」以外を選択した人に、調理時間に対する考え方について質問したところ、「今より減らす必要がない」が46.9%となり、約半数が現状のままで良いという結果となった。しかし、「今より減らしたい」という回答も10.1%を占めたほか、「今よりもう少し減らしたい」も29.0%を占めており、これらを合わせた約4割は「減らしたい」と考えていることがわかった。
また、この質問で「今より減らしたい」、「今よりもう少し減らしたい」と選択した人に、「調理時間を短縮するために実践したい、または実践している方法」について聞いた結果、「予め献立を決めておき、事前に準備しておく」が半数以上の54.7%で最多となった。市販の惣菜や冷凍食品、レトルト食品等の利用については、それぞれ約10%前後となっており、これらも上手く使いながら調理時間を短縮したい(している)という意向があることがうかがえる。
調理をしない人でも、若い世代では今後の調理に多少前向き
調理の頻度に関する質問で「基本的に調理をしない」と回答した人に、普段の食事はどうしているのかを聞いたところ、「家庭内の誰かが調理などしてくれたものを食べている」が85.9%でほとんどであることが分かった。
また、今後の調理の意向については、「今後とも調理するつもりはない」が67.1%と半数以上を占める結果となった。この結果について年代別にみると、20代では「今後調理するつもりでいる」が14.5%と他の世代よりも比較的高い結果となっている。このため、若い世代では、今後の調理について前向きな見方を多少持っていることがうかがえる。