2020年10月30日 実証実験の考え方で意見募集 民間AMラジオのFM放送への転換で

総務省は、民間ラジオ放送事業者のAM放送のFM放送への転換等に関する「実証実験」の考え方(案)を取りまとめ、同案についての意見募集を10月22日から開始した。

NHKを除く全国各地の民間ラジオ放送事業者は東京キー局を含め、現在主流のAM放送から2028年を目途に、音質などではるかに上回るFM放送への転換を要望している。

総務省では、電子メールや郵送で寄せられた意見を踏まえ、実証実験の考え方(案)を修正し、公表する予定。意見募集は11月20日まで。

民間ラジオ放送のAM放送からFM放送への転換については、今年6月に「放送を巡る諸課題に関する検討会」の「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」により策定された「放送事業の基盤強化に関する取りまとめ」において、2028年の全国的な制度整備に先駆けて、課題への対応に取り組む観点から、民放連からの要望も踏まえて、2023年の再免許時に「実証実験」としてのAM先行停波・FM放送への転換を行うこととされている。

この実証実験に関しては、総務省において検討を行い、2020年秋までを目途に実施内容の具体案を公表することとされている。

これを受けて、総務省において、「実証実験」によるAM先行停波・FM放送への転換に関する具体案を作成し、広く一般の意見を募集するもの。

実証実験の考え方(案)では、民間ラジオ放送事業者のAM放送のFM放送への転換は、営業収入の減少・AM放送に係る設備投資の限界といった事情を踏まえ、各民間ラジオ放送事業者の経営判断として自主的に実施するもので、必要な制度整備を行うことが総務省の本来的な役割だとしている。

こうした状況の中であえて国として実証実験を行うのは、AM放送のFM放送への転換が、受信者に大きな影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、事業者・地域に共通の課題を検証し、円滑かつ確実なFM放送への転換を推進するとしている。

 

世帯カバー率90%を維持

また、AM放送の停波・FM放送への転換を行う民間ラジオ放送事業者においては、AM放送時の世帯・エリアカバー率を最大限維持できるよう、FM中継局などの整備を進めることが求められるが、設備投資に係る財政的な負担だけでなく、周波数の特性による技術的な限界があることも事実で、ある程度世帯・エリアカバー率が低下することはやむを得ないと分析。

このため、現在FM波のみにより放送を行っている地上民間放送事業者の世帯カバー率平均値の約90%を概ね満たすことを要件とするとしている。

ラジオは、屋内のみならず屋外でも広く聴取されるメディアで、世帯カバー率に加えて、エリアカバー率も重要。とりわけ、一定規模以上のトンネル内については、トンネルの施設管理者による再放送なしでは、放送波が届かないことから、まずは、各民間ラジオ放送事業者において、トンネルの施設管理者と調整を行うことが求められるとしている。

 

対応受信機の普及推進が必要

また、AM放送のFM放送への転換を円滑に実施するためには、送信側の取組だけでなく、転換後のFM放送で主に使用される90MHz超の周波数に対応した受信機の普及を推進することが必要。

このため、十分な時間をかけて、対応受信機がないと転換後のFM放送を受信できない場合があることを事前に周知するとともに、受診者からの問合せなどについて丁寧に対応することが大切だと指摘。また、対応受信機の普及を促すために、関係事業者が連携して、普及促進活動を行うことも期待している。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.