国土交通省は20日、建設業における週休2日の確保をはじめとした働き方改革をさらに加速させるため、長時間労働の是正、給与・社会保険、生産性向上の3つの分野における新たな施策をパッケージとしてまとめた「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定した。今後、新たな施策について、関係者が認識を共有し、密接な連携と対話の下で施策を展開していく方針だ。
日本全体の生産年齢人口が減少する中、建設業の担い手については概ね10年後に団塊世代の大量離職が見込まれており、その持続可能性が危ぶまれる状況である。建設業は、全産業平均と比較して年間300時間以上の長時間労働となり、他産業では一般的となっている週休2日も十分に確保されていない。給与についても、建設業者全体で上昇傾向にあるが、生産労働者については、製造業と比べて低い水準にある。将来の担い手を確保し、災害対応やインフラ整備・メンテナンス等の役割を今後も果たし続けていくためにも、建設業の働き方改革を一段と強化していく必要がある。
政府では、昨年3月の「働き方改革実行計画」を踏まえ、これまで、関係省庁連絡会議の設置や「適正な工期設定等のためのガイドライン」の策定など建設業の働き方改革に向けた取組を進めてきた。また、建設業団体でも、働き方改革4点セット(週休2日実現行動計画等)の策定など、業界を挙げた取組が進展している。
今回策定したプログラムでは、長時間労働の是正に関する取組として、公共工事での週休2日工事を大幅に拡大。週休2日の実施に伴う必要経費を的確に計上するため、労務費等の補正の導入や、共通仮設費、現場管理費の補正率を見直す。そのうえで、長時間労働とならない適正な工期設定を推進するため、各発注工事の実状を踏まえて「適正な工期設定等のためのガイドライン」を改訂する。
給与・社会保険に関する取組としては、技能者の資格や現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する建設キャリアアップシステムの今秋の稼働と、概ね5年でのすべての建設技能者(約330万人)の加入を推進。
技能・経験にふさわしい処遇(給与)が実現するよう、建設技能者の能力評価制度を策定する。
さらに、能力評価制度の検討結果を踏まえ、高い技能・経験を有する建設技能者に対する公共工事での評価や当該技術者を雇用する専門工事企業の施工能力等の見える化を検討。
社会保険への加入を建設業運営でのミニマム・スタンダードにするため、未加入の建設企業は、建設業の許可・行進を認めない仕組みを構築する。
生産性向上に関する取組として、中小の建設企業による積極的なICT活用を促すため、公共工事の積算基準等を改善する。
また、工事書類の作成負担を軽減するため、公共工事での関係する基準類を改定するとともに、IoTや新技術の導入等により、施工品質の向上と省力化を図る。
さらに、現場技術者の将来的な現象を見据え、技術者配置要件の合理化を検討する。