2017年4月19日 安達副所長に振興部門科技賞 情報学研のSINET開発に文科大臣表彰

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所のアーキテクチャ科学研究系漆谷重雄教授、同研究系阿部俊二准教授、研究戦略室山田茂樹リサーチアドミニストレーター・特任教授、学術基盤推進部学術基盤課中村素典特任教授、同研究系合田憲人教授の5名が、4月11日に文部科学省が発表した「平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」で「科学技術賞」(開発部門)を、コンテンツ科学研究系安達 淳教授・副所長が同表彰の「科学技術賞」(科学技術振興部門)を、それぞれ受賞した。

情報研が取り組んできた幅広い先端科学分野の活動を支える高性能で高信頼なマルチサービス基盤「SINET(サイネット)5」の開発が高く評価されたもので、SINET(学術情報ネットワーク)の開発では、仮想化技術を複合的に連携させ、かつ、ネットワーク資源を一元的に制御・管理する新しいネットワークアーキテクチャを実現した。

全国的な通信性能の向上と多様で機動的なサービスの提供により、全研究者の研究効率の大幅な向上に寄与するとともに、熊本地震においても九州全域で多様な通信サービスを継続するなど安定した通信環境の提供に寄与している。

科学技術振興部門で科学技術賞を受けた安達副所長の業績は「学術情報の電子化とオンライン流通のシステム構築技術の振興」。わが国の学会等の学術論文を電子化しインターネット上で流通するオンライン・システムの設計とサービスの実現を行った。紙媒体での出版から電子化に移行しやすいサービスとし、メタデータの整備も併せて行い、学会にとって参加しやすく、研究者や学生らの利用者が検索しやすいのが特徴。また、引用文献情報の整備では、文書同定を行うための人工知能技術を適用したソフトウェアを開発し、効率的な運用を可能とした。

安達副所長らの研究により、わが国の学会が電子ジャーナルに向かう世界の潮流に遅れることなく、的確に対応できる環境を欧米と時期を同じくして構築した結果、現在400以上の学会がこのサービスに参加、電子化された雑誌タイトル数は11万6千誌に達し、大学等の紀要論文も含めて380万論文が公開されるに至っており、利用者がインターネットを活用して研究際になくてはならないサービスとして学術情報の電子化と流通に寄与している。

安達副所長は今回の受賞について次のようにコメントしている。

「まだPDFもXMLもない時代から、日本の学術情報の電子化と流通に関わることができ、大学における教育研究に少しでもお役に立てたことは大変光栄に思う。また、プロジェクト当初に論文データを提供していただいた情報処理学会、電子情報通信学会および電気学会に感謝の意を表する。何よりも、このサービスの利用や普及に際し、さまざまな支援や協力をいただいた大学図書館の方々には深く感謝する。その後の電子ジャーナルの進展には目覚ましいものがあり、振り返ると、十分にやれなかったことも多々ある。奇しくもNII(情報研)の電子図書館事業終了と同じくしてこの賞をいただくことには、感慨深いものがある」


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