2021年11月10日 子どもの拒食症、初診が1.6倍に コロナ禍のストレス影響か 生育医療研究センター

昨年度、摂食障害の1つである神経性やせ症(拒食症)で初診の外来に来た20歳未満の患者数が、前年度に比べて1.6倍に増えたことが国立成育医療研究センターの調査で明らかになった。新たに入院する患者も1.4倍に増加。同センターは、「コロナ禍でのストレスや不安が影響している」と推測している。

調査は今年の4月30日から6月30日に実施。子どもの心のケアについて中心的な役割を担う全国の医療機関26施設を対象に行った。

調査結果をみると、2020年度に初診外来に来た未成年の神経性やせ症患者は、男女合わせて258人(男性:28人、女性:230人)で、前年度の158人(男性:17人、女性:141人)から100人増加していた。入院患者は141人(男性:9人、女性:132人)で、前年度の99人(男性:6人、女性:93人)から42人増えている。

調査では、コロナ禍で食事を食べられなくなる神経性やせ症が増加していると報告。さらに、調査対象の医療機関からは「患者が重症化し、入院期間が延びている」との声が寄せられていることも明記した。一方、摂食障害の患者のための病床が少ないこともわかった。治療できる医療機関が少ないことから、特定の入院施設に患者が集中していること、新型コロナウイルス感染者への病床を確保したことで摂食障害の患者の入院に対応できなくなった可能性などが示唆されると結論付けている。

このため、同センターは「神経性やせ症患者向けの入院病床数を確保することが求められている。加えて、摂食障害を診察できる医療機関の拡充も必要だ」と述べた。また、神経性やせ症の場合、本人が病気を否認して医療機関での受診が遅れがちになると指摘。子どもの食欲や体重の減少に家族や教育機関が気を配り、深刻な状態になる前に、まずは内科、小児科などのかかりつけの医を受診することを勧めている。

国の調べによると、国内の神経性やせ症の患者は約1万3000人。10代でかかることが多く、患者の90%以上が女性だ。肥満を避けるために過剰な食事制限や過食、体重の増加を防ぐための嘔吐を繰り返すといった症状がある。死亡率は約7%であり、一般の若い女性と比べて高い割合だといえる。自然治癒することはほとんどないという。


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