国土交通省の社会資本整備審議会・交通政策審議会の技術部会(部会長:磯部雅彦高知工科大学学長)は9日、平成29年度からの同省の技術政策の基本方針やそれに係る重要な取組を内容とする、新たな技術基本計画の骨子案について議論した。この日国交省事務局から示された骨子案では、技術政策を推進する仕組みとして、技術政策の好循環実現に向けた環境の整備、我が国の技術の強みを活かした国際展開、技術政策を支える人材育成、技術に対する社会の信頼性の確保、技術基本計画のフォローアップをあげている。骨子案に対して委員からは、「何を持って戦略的とするのかの定義をきちんと書いておく必要がある」等の指摘があり、これらを踏まえ、今後技術基本計画の原案を作成することになった。
骨子案では技術政策の基本方針について、社会経済の構造の変化として、科学技術の大きな変革期(IoT、AI、ビッグデータなど急激な進展、第4次産業革命、Society5.0)であることのほか、加速するインフラ老朽化、大規模災害からの復旧・復興、技術への信頼などをあげている。
技術政策の方向性としては、IoT、AI、ビッグデータ等を積極的に取り込んだ「生産性の向上」、「安全・安心の確保」、「持続可能な成長と地域の自律的な発展」、「基盤情報の整備」を掲げた。
また、技術政策を進める上での基本的姿勢には、社会、現場のニーズを的確に把握するとともに、将来の動向を予測し、出口を見据えることなどをあげている
社会経済的課題へ対応した技術政策
社会経済的課題へ対応した技術政策については、IoT、AI、ビッグデータ、ロボット等の急速に発展する技術を徹底的に使うこと、分野横断的に研究開発から技術の普及までの取組を一体的に進めることなどを基本として掲げた。
その上で、IoT、AI、ビッグデータ等を駆使した新たな生産性の向上、安全・安心の確保、持続可能な成長と地域の自立的な発展、技術基盤情報の整備の4つを戦略的に取り組むべき技術開発の分野としてあげている。
技術政策を推進する仕組み
技術政策を推進する仕組みについて、技術政策の好循環実現に向けた環境の整備では、技術政策に係る産学官(独法を含む)それぞれの役割分担を明示し、産学官の連携が重要であることを記載。その上で、方策として、オープンイノベーションの推進、技術の効果的な活用、研究施設・設備の老朽化への対応等をあげた。
また、技術政策を支える人材育成においては、技術政策を支える産学官の人材に求められる能力、資格、これらに加えて、産学官の人材が有する技術・経験等を的確に継承していくことが求められることを記載している。
技術に対する社会の信頼性の確保については、国民からの信頼を得るため、国土交通行政を支える技術の果たす役割を正しく伝えるとともに、技術の限界、事象の企画や計画過程を正しく伝える必要があるとの考えを示した。
また、現場や地域等の社会ニーズを把握し、ニーズに的確に答えるよう技術を活用・開発していくことに努めていく必要があるとしている。