2025年に開催される「大阪万博」に対して、若者の7割近くが賛意を示していることが、日本財団が17歳から19歳の若者を対象に行った調査で明らかとなった。福島第一原子力発電所の処理水放出に関しては、全体の6割が「賛成」と答えたものの、政府の説明を〝不十分〟とする声も約4割にのぼった。
大阪万博「行きたい」は3割
大阪万博の認知度に関する調査では、全体の7割弱が「知っていた」と回答。来場意向は約5割の「わからない」が最多で、「行きたい」が約3割、「行きたくない」が約2割程度という結果となった。男性は31.7%が「行きたい」と答えたものの、「行きたい」と回答した女性は25.3%。来場意向で男女差がみられた。
大阪万博が開催されることに関しては、全体の7割弱が「賛成」で答えた。男女別では、男性の34.2%が賛成と回答する一方、賛成と答えた女性の割合は28.4%。
大阪万博開催に賛成する理由としては、5割以上が「日本への経済的な効果が期待できるから」「日本や日本文化を発信するチャンスになり得る」ことをあげた。「技術の発展が期待できる」という回答も、4割弱から寄せられた。
5割が「予算に対する効果が少ない」
反対する理由としては、5割の若者が「予算に対して得られる効果が少ないと思うから」を挙げた。また、約4割が「昨今の日本の状況において大規模な予算をかけることが適切でないと思う」ということも、開催に後ろ向きになる理由とした。
さらに、▽国民の間では1970年当時ほど盛り上がっていないと感じる(22.7%)、▽社会課題の解決での効果が期待できない(19.7%)、▽人が多く集まることで、感染症が流行するリスクがある(13.6%)‐といったことも、一定数が反対する理由としてあげた。特に「感染症リスク」は、男性10.4%、女性22.2%と、男女で10ポイント近くの差がみられた。
調査では、大阪万博のコストパフォーマンス(予算と得られる効果)に関する考え方も聞いた。万博のコスパに関しては、全体の2割以上の22.9%が「悪い」と答え、「よい」(16.1%)回答を上回った。
大阪万博の予算規模は約4800億円。今年10月現在、500億円増えるという試算結果が公表されている。増額分を含めた予算のうち、政府・自治体の負担は約2200億円以上の見込み。
政府説明、「不十分」が5割
今年秋に福島第一原子力発電所内のタンクに貯蔵された処理水の海への放出が行われたことに関しても、考え方を聞いた。処理水の放出の認知度としては、約8割が「知っている」と回答。処理水の放出は33.4%が「賛成」、25.1%が「どちらかといえば賛成」で、58.5%がおおむね「賛成」と答えた。性別では男性は7割弱が賛成であった一方、女性の賛成率は5割を下回った。
政府の説明については、全体の4割以上が「十分だと思う」と回答した一方、4割弱が「不十分だと思う」と答えた。国際社会への政府の説明に対しては、「不十分だと思う」と全体の約5割が答えた。
処理水の処分方法は、専門家により検討され、過去の放出実績などから最も安全な方法だとして海洋放出が決定した。国際原子力機関(IAEA)から、処理水の海洋放出について、国際安全基準に合致していることなどを結論づけた「包括報告書」が、今年7月に公表されている。