5Gや光ファイバ等のICTインフラの地域における利活用方法と、地域への普及展開を促進するための新たな戦略を検討していた、総務省の「ICTインフラ地域展開戦略検討会」(座長:岡素之住友商事名誉顧問)はこのほど、最終とりまとめを公表した。総務省では、最終とりまとめで提言されたICTインフラの地域展開に係る基本的な考え方や、国・自治体・民間事業者の役割等を踏まえて、地域へのICTインフラの普及展開を進めていく方針だ。
地域社会が抱える課題について最終とりまとめでは、本格的な人口減少と少子高齢化を迎える我が国において、特に地域では、克服すべき多くの社会が顕在していることを指摘。また、地域の具体的な社会課題として、農業・漁業や土木・建設業等について、後継者を含む担い手が減少していることや、医師が地域的に偏在し、僻地診療所等の医師確保が課題となっていることなどをあげている。
ICTインフラ地域展開による新しい地方創生について、近年、通信技術は移動系・固定系双方で進化を続けており、第5世代移動通信システム(5G)は、AI/IoT時代のICTインフラとして期待されており、光ファイバと連携し、VR・ARや自動運転等の次世代の技術の社会実装を実現するインフラとなるとの考えを示した。
また、総務省では、「ICTまちづくり」や「地域IoTロードマップ」の作成等、ICTの社会実装により、それぞれの地域が有する固有の課題を解決するためのモデルづくりや成功モデルの普及展開を支援していることも紹介している。
ICTインフラの整備状況については、離島や山地を多く有する地域を中心に、ICTインフラ整備の遅れがみられ、特に財政力の低い自治体で整備が停滞していることを指摘している。
また、一部の地域では、住民や地元企業等から、現状のブロードバンド利用環境について不十分・不便といった認識から、超高速ブロードバンド整備に対する相談・要望が寄せられていることを指摘。
このような中、未整備地域では、地域課題解決に資するICTインフラの整備・利活用が期待されているとした。
その上で、5G・光ファイバ等のICTインフラの整備・強化により未整備地域を解消するとともに、ICTの社会実装の拡大・高度化により、地域社会の様々な課題解決を図っていくことが必要で、その整備に当たっては、有線・無線の柔軟な連携による効率化を図るべきとの考えを示した。
ICTインフラ地域展開戦略の基本的考え方として、国が地域におけるモデル実証を支援し、成功事例等の継続、横展開、社会実装を推進すること、利用者視点でのニーズやコストパフォーマンス等を考慮した整備を推進することなどを掲げ、これを国・自治体・民間事業者が共有し、それぞれの立場から、ICTによる地域課題解決やそれを支えるICTインフラ整備を促進することを求めた。
また、ICTインフラ地域展開戦略の基本的な考え方に基づいて、国・自治体・民間事業者がそれぞれの立場から、5G等の高度無線環境時代に向けてICTインフラの整備等を加速化させるよう提言した。