2016年8月2日 地域に必要な情報流通を確保 放送を巡る諸課題で検討会が第一次取りまとめ案

総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」(座長:多賀谷一照獨協大学法学部教授)はこのほど、第一次取りまとめ(案)を公表した。この検討会は、近年の技術発展やブロードバンドの普及など、視聴者を取り巻く環境変化等を踏まえ、昨年11月から開催されているもの。放送に関する諸課題について、日本の経済成長への貢献と市場やサービスのグローバル化への対応、視聴者利益の確保・拡大等の観点から、中長期的な展望も視野に入れた検討を行うことが目的だ。

第一次取りまとめでは、放送を巡る社会環境の変化について、ブロードバンド化の進展や、スマホ・タブレット等のデバイス多様化など情報通信分野の技術発展、IoTを含むあらゆる分野でインターネット化が進展していると記述。さらに、視聴者ニーズの変化や若者を中心とするテレビ離れといったライフスタイルの変化、人口・世帯減少や高齢化、地方経済の停滞、市場経済のグローバル化、外国資本参入による競争激化など社会経済構造の変化等の大きな環境変化が顕在化していることも指摘している。

そのうえで、これらの環境変化を踏まえた課題として、①新サービス・新事業の創造、経済成長への貢献、②新サービス・新事業の展開等に伴う視聴者利益保護、③視聴者ニーズや地域課題への十分な対応、④地域情報、災害情報を含む国民に必要な情報の円滑な提供‐をあげている。

 

対応の方向性

また、環境変化を踏まえた課題に対し、放送・通信全体の枠組みのもと、視聴者視点による解決の必要性を提示。具体的には、新サービスの展開や地域に必要な情報流通の確保、新たな時代の公共放送を掲げている。

このうち、新サービスの展開では、放送とネットとの連携といった新サービスなどの普及・展開を促進。これらの新サービスの普及・展開に伴う視聴者利益の保護方策のほか、今後の地上テレビ放送の高度化に係る展開や、放送事業者が提供する番組をインターネットで配信する際のコンテンツの取扱い等について、対応を検討するよう求めた。

地域に必要な情報流通の確保では、放送に情報格差の是正や活力ある社会の構築等といった役割があると指摘。豊かな国民生活や活力ある社会、地域社会の文化の維持発展に役立つことが期待されているとし、地域のコンテンツ受発信のための取組推進や地域情報の確保、地域情報の提供等が必要とした。

新たな時代の公共放送では、NHKについて、言論報道の多元性や放送番組の質的水準確保を要請。民間放送が不十分な分野を埋める働きを要求。こうした役割・使命自体は変わるものでなく、情報提供のあり方が多様化する中でも、公共的見地から全ての国民・視聴者へ情報が提供される環境を確保する必要性に言及した。また、国民・視聴者のニーズや視聴環境の変化に適確に対応して、その先導的役割を果たし、国民・視聴者の期待に応えていくことも求めている。

そのうえで、インターネットを活用する業務をより一層の推進することや、国際放送・地域情報の提供等を充実・強化するとともに、既存業務の合理化・効率化を提言した。


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