アジア最大級の介護機器などの見本市「国際福祉機器展2016」が、今月12日から14日まで3日間の日程で開催された。
大手自動車メーカーは今回もそれぞれ大々的に出展。高齢者や障害者の乗車を想定した福祉車両の主力を並べ、そのデザインや性能を競い合った。
標準サイズで車いす利用者 4人が乗車可能に
送迎用としても活用されている「ハイエース」。トヨタは今夏にリリースした「標準ボディ」の新型を出した。セールスポイントは、車いすの利用者を同時に4人乗せられること。2人は車いすのままで、残る2人は座席に移ってもらう。折りたたんだ車いすを2台まで積めるスペースがある。従来はさらに大型の「ワイドボディ」にしか無かったキャパシティだ。「標準ボディ」は相対的にコンパクトで地域を走りやすい。デイサービスの事業者などが関心を寄せていた。
より大きなサイズの車いすを、利用者が乗ったまま2台まで受け入れられるモデルも展示された。9月に発売されたばかりのもので、利用者が横になるストレッチャーを搭載することもできる。在宅で進む重度化を考慮してデザインされており、これからニーズが高まっていく見通しだ。
このほか、同社の「スペイド」では、折りたたんだ車いすの収納装置をクレーンで引き上げる方式から、車いす本体を固定したキャスターが自動的にスライドする方式に変更。力の弱い高齢者などでも、楽に収納ができるよう改良が加えられた。これまでは、車内に引き上げた車いすを固定する際に、落ちないように支える必要があった。
スロープタイプ初のハイブリッド車
9月に売り出した新しい「フリード」を披露したのがホンダだ。注目を集めているのは、スロープタイプで初のハイブリッド車となる「フリード+ ハイブリッドG」。車いすの利用者と頻繁に外出する人のニーズに応えた。スロープは水平に格納される仕組みで、荷台として活用することも可能。乗車しやすいように助手席が向きを変えて下りてくるなど、他の機能も用意されている。
シートを中央に、自動運転アシストも
日産は新型の「セレナ」だ。来春にリリースする車いす仕様車を参考出展した。運転席や他のシートとの距離を近づけるため、3列シートの2列目に車いすを乗せるレイアウトを採用。左右のスペースや開放的な視野が確保される設計にした。隣のセカンドシートは、背もたれを倒せばベッドの代わりにもなる。3列目のスペースを空ければ、車いすをもう1台乗せられるという。
他の「セレナ」と同様に、渋滞の時に車線や車間距離を自動で保つ「プロパイロット」が使える。このほか、センサーに足をかざすだけでスライドドアを開閉できる仕組みなど、様々なアイディアが盛り込まれている。
他メーカーも新車種を出展
このほか、スズキは「スペーシア」や「エブリイワゴン」の車いす仕様車と、高齢者用のセニアカーなどを出展。マツダは手動でスピードが操作できる装置を搭載した「ロードスター」や「アクセラ」などを発表している。